個人事業主であるユーチューバーが活動していく上で、必要経費として認められる判断基準は?節税効果も期待!

小学生の将来なりたい職業ランキングにランクインするほど話題の「ユーチューバー」ですが、(将来の日本が心配ですね…。)ユーチューバーになるには特別な資格などは必要なく、公的な届け出も必要ありません。

明確な基準が無いため、稼げている、稼げていないに関係なく、自分でユーチューバーと名乗ればユーチューバーということになりますが、税制面から見れば、全く稼げていなければ無職と同様の扱いで問題ないと思いますが、動画配信で一定の収入を得ているのであれば税金を納めなければならず、個人事業主(自営業)という扱いになります。

それでは、ユーチューバーとして活動していく上で、確定申告する際に、どこからどこまでが必要経費として認められるのでしょうか?必要なものは経費として計上すれば節税にもなりますが、認識が甘いと悪意はなくても税金逃れになりかねませんので注意が必要です。

スポンサーリンク

個人事業主(自営業者)の経費

ユーチューバーの経費についてお話しする前に、個人事業主(自営業者)の経費というものが分かっていないとユーチューバーの経費について話しても、なかなか理解が進まないため、最近に個人事業主の必要経費について簡単に説明します。

個人事業主の必要経費とは?

個人事業主(自営業者)は、事業に関係する費用は「経費」として使うことができます。

経費として使ったものを売上がら引いて、残った利益に対して税金が課せられます。

利益(課税対象)=売上-経費

ずる賢い人は日常生活に必要なもの全てを経費として計上すれば節税になると考えるかもしれませんが、無条件で全てが経費として認められるわけではありません。

経費として「認められる」「認められない」の判断基準は、事業を継続していく上で必要な費用であり、その費用が「売上につながる費用かどうか」というこになります。

このため、経費として認められるものは事業内容によって異なります。

例えば、大工さんが中華鍋を経費で購入しようとしても認められませんし、逆に飲食店の店主が電動工具を経費で計上しても事業用ではなく家庭用と判断され認められません。

しかし、経費の扱いには曖昧な部分もあり、正直なところ、ごまかすことも出来てしまいます。高級スポーツカーを経費で購入してプライベートで乗り回している社長はいくらでもいますが、前提は覚えておいてください。

経費として認められるもの

個人事業主(自営業者)事業を継続していく上で必要な費用には様々なものが考えられますが、無条件で全てが認められるわけではありません。

また個人事業主は家族経営であったり、自宅を事務所として使用していたり、仕事とプライベートの境界線が曖昧な場合もあるため、必要経費に「経費になる」「経費にならない」「一部経費になる」を正しく理解する必要があります。

従業員の給料

従業員の給料は全額経費として認められます。家族への給与は原則経費になりませんが、一定の要件を満たせば必要経費にすることも可能です。

事務所の家賃

事務所の家賃は全額経費として認められます。自宅兼事務所のような場合は、住居用の面積と事業用の面積の割合に応じて「案分」することで経費として認められます。

住宅ローン

自宅兼事務所のような場合はであっても、住宅ローンの元本は「案分」できません。住宅ローンの利息は事業に使っている割合に応じて「案分」することで、必要経費とすることができます。

自動車

事業に使う車は全額経費として認められます。プライベートでも使用する場合は、事業で使用する割合とプライベートで使用する割合に応じて「案分」することで経費として認められます。

税金各種

所得税・住民税は経費として認められません。

事業税、自動車税、固定資産税、不動産取得税、登録免許税は公租課税として経費にできます。一部、事業に使っている割合に応じて「案分」することが必要なものがあります。

交際費

法人とは違い、個人事業主は交際費を経費にできる上限はありません。事業の遂行上必要と認められる交際費は経費になります。

ユーチューバーの必要経費

前置きが長くなりましたが、本題のユーチューバーの必要経費になる・ならないの判断基準は、他の個人事業主と同様に「業務遂行上、必要であること」「客観的に必要性が認識できること」が判断基準になります。

動画配信に必要な機材

パソコン・スマートフォン・ビデオカメラ・ウエブカメラはユーチューバーとしての業務遂行に必要不可欠な機材のため、購入費用は経費として認められます。

但し、経費で家族のスマートフォンを購入したりはできません。

衣類品

衣類・装飾品等は、私的に購入した物か、業務のために購入した物か合理的に区分することが困難なため、基本的に必要経費として認められません。

但し、私服と異なる明らかな衣装や、ふなっしーのようなゆるキャラのユーチューバーは認められる可能性があります。

撮影場所の装飾物

撮影場所がスタジオであればセットとして必要性も感じられるが、自宅の部屋で撮影している場合、客観的に必要性があるとは認識ができず、飾り付けることが売上につながる費用とは言い難いため経費としては認められません。

動画内で紹介する商品

人気・流行の商品を紹介する動画を配信している場合、該当する商品の購入費用は客観的に見て必要性があるようにも思えますが、私的に購入した物が良かったので紹介しているのか、最初から業務のための購入か判断が難しいため、個別の対応になります。

交通費

目的地までの交通費は、経費として認められる可能性がありますが、私的な旅行の様子を動画配信しているのか、動画配信のために出かけたのか、そもそもその場所で配信する必要性があるのかが判断基準になります。

全体的な傾向

ユーチューバーは個人事業主の中での珍しい職業であり、ユーチューバーが配信する動画も様々なものがあります。また、比較的新しい職業でもあるため、過去の裁判による判例も少なく、一概に「認められる」「認められない」と言い切れない部分が多いです。

必要経費として認められる範囲はユーチューバーが考えるよりも狭い可能性が高いと思っていた方がいいでしょう。