2020年6月5日、インターネット上に無断で公開された漫画などを、海賊版と知りながらダウンロードする行為を禁じた改正著作権法が参院本会議で全会一致で可決し、成立しました。
周知期間を経て、2021年1月に施行されることになり、悪質なケースには刑事罰が科せられます。
これまでは、違法ダウンロードの罰則の対象は、音楽・映像に限られていましたが、本法の成立により、漫画のほか書籍や論文、コンピュータープログラムなど著作物全般に拡大されることになります。
対象 | 2021年1月以前 | 2021年1月以降 |
音楽作品 | × | × |
映像作品 | × | × |
漫画 | 〇 | × |
書籍 | 〇 | × |
論文 | 〇 | × |
コンピュータープログラム | 〇 | × |
刑事罰に問われるケース
刑事罰に問われるのは、正規版が有償で提供されている著作物を継続的にダウンロードした場合で、起訴には著作権者の告訴が必要です。
有罪となれば2年以下の懲役か200万円以下の罰金が科されることになります。
【本法が適用される条件】
- 正規版が有償で提供されている著作物のダウンロード
- 継続的なダウンロード
- 海賊版と知りながらダウンロード
- 著作権者の告訴が必要
一部例外・対象外
漫画1話、数十ページのうち「数コマ」といった「軽微なもの」は違法とはなりません。
また、二次創作・パロディーも除外されました。
スクリーンショットに違法画像が写り込むケースや、著作権者の利益を不当に害しないと認められる「特別な事情」がある場合も対象外となります。
本法の有効性
既に2012年には、音楽・映像作品の違法ダウンロードには罰則が導入されていますが、これまで(2020年6月時点)に摘発された例はありません。
「海賊版と知りながらのダウンロードの立証」と「著作権者が違法ダウンロードした者を把握(著作権者の告訴)」することが困難で、この点についての改正がないため、本法でも違法ダウンロードの撲滅は期待できません。
ただし、海賊版サイトに誘導する「リーチサイト」の規制も強化されることになり、リーチサイトを設置・運営したり、無断で公開された著作物のリンク先を掲載したりする行為も対象となります。(2020年10月施行)
この点は一定の抑止力の期待ができます。
文化庁は著作権を守るという立場と、違法であることを明確にすることで、「実際の摘発に至らなくても、抑止効果が期待できる」としていますが、実際に違法ダウンロードが無くなるのか有効性については疑問があります。
違法ダウンロード撲滅に有効なのは?
違法ダウンロードサイトの撲滅は、違法コンテンツをアップロードする側を取り締まらないと根本的な解決にはなりません。
違法コンテンツをアップロードする側の取り締まりの強化すると共に、違法サイトの運営の目的である広告収入を絶つことが撲滅には有効といえます。
広告に関して規制や制限、審査などを設けるなどして、違法サイトに広告出してる代理店にもペナルティを設けることが違法ダウンロードサイトの撲滅には効果的と思われます。