水商売でもいきすぎた営業トークは許されない。恋愛感情の縺れから お客さんに訴えられる可能性も!

キャバクラやクラブで働く、いわゆる水商売の女の子は自分の収入につなげるため『思わせぶりな態度』『色恋営業』さらには『枕営業』などの接客方法、駆け引きを駆使して固定客の獲得に奔走しています。

キャバクラは疑似恋愛を楽しむ大人の遊び場ですが、いきすぎた営業トーク、色恋・枕営業が相手を勘違いさせ、恋愛感情に発展し、予期せぬトラブルに巻き込まれるキャバ嬢も少なからずいるようです。

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お客から訴えられるケース

水商売で働く女の子は職業柄、多少の嘘、駆け引きは当然あるでしょう。

営業トークの一環であれば、違法性を問われるケースは少ないですが、水商売の女の子だからといって何をしてもいい、どんな嘘を付いてもいいという法律はありません。

水商売の常識は世間の常識ではありません。

キャバクラのような業務形態であっても通常許容されるべき範囲を超えて、容易に嘘だと判断できないような虚偽の事実を述べて積極的に働きかけ、騙すような言動により金銭や物を騙し取った場合は、不法行為が認められます。

おねだりはいいが、嘘は駄目

"シャンパンのみたいなぁ""新作のバッグ欲しいなぁ"といったおねだりや、常識の範囲内で悪意のない営業トークであれば問題ありませんが、"悪意のある嘘"で金銭を騙し取ることは水商売だからといって許されるものではありません。

ベタなところで"田舎の親が病気に罹って手術必要"これが事実で、お客さんに頼んでお金を貸してもらった場合や、自分から貸してと言わなくても、お客さんが好意で貸してくれたり、お金をくれた(贈与)場合は何も問題はありません。

しかし、これらが全くの嘘で金銭を騙し取った場合や、お金を引き出すように仕向ける行為は、刑法の詐欺罪(未遂)に該当する可能性が極めて高いです。

詐欺の成立には欺罔行為(嘘)があって、それにより相手方が錯誤に陥り(騙され)、財物(お金)を払う気になったことが必要です。

詐欺罪は罰金刑が無く、略式命令請求で処理されることもありません。起訴されれ高い確率で正式な刑事裁判になり、有罪になれば最大で10年以下の懲役刑が科せられます。

実際にお金を騙し取っていない未遂でも罰せられる可能性があります。

金額の大小は裁判の判決には影響するかもしれませんが、金額が少ないから詐欺にならないということはありません。

【法定刑】
犯罪をおこなったものは10年以下の懲役に処され、犯罪によって得たものは没収(19条)または追徴(20条)される。
嘘をついてお金をもらったり、何かを買わせたりするのはとても重い罪に課せられるをいうことを改めて認識しておきましょう。

詐欺罪で起訴され、刑事裁判になった場合でも下記のような場合は執行猶予になる可能性はあります。

  • 初犯であり反省が伺える
  • 悪質性が低く、被害額が小額
  • 被害者との間で示談が成立している

源氏名・年齢詐称は嘘に当たらない

キャバクラで働くキャバ嬢の多くは本名ではなく源氏名を使い、年齢も若く偽っているかもしれません。住所も信頼関係のない状態で本当の住所を教えないのは防犯上、当然のことです。

これらはお金を騙し取るためについた嘘ではないので大丈夫です。

交換条件も守られなければ契約違反

契約は当事者の意思表示が合致するだけで成立します。契約書などがなくても口頭の約束だけでも契約は成立します。

実際に契約書がなければ裁判になった場合、言った言わないの水掛け論になってしまいますが、交換条件も守らなければ契約違反に当たる可能性があります。

例を挙げると、"バッグを買ってくれたらデートする"と口頭で約束すれば、契約上はバッグを買ってもらった女の子はデートをしなければいけません。

"お店で100万円使ったら付き合う"と約束すれば、お客さんが約束を果たしたとき女の子も約束を守らなければいけません。

交換条件の多くは褒められた内容ではないかもしれませんが、あくまでも契約上は一方が約束を果たせば、もう一方も守らなければいけません。

契約が守られなかった場合は、損害賠償の請求になってしまう可能性や、場合によっては悪意があると判断される場合は詐欺になってしまうケースもあるため、冗談が通じないようなお客さんには注意が必要です。

しかし、実際に裁判になった場合は、水商売という仕事上の営業トーク、駆け引き、お酒の席での約束といったことが考慮され、よほど悪意があるものでなければ罪に問われることはありません。

恋愛感情の縺れによる金銭の請求

水商売で働く女の子が巻き込まれやすいトラブルの上位に、自分に気が無いと分かったお客が『今まで使った金を返せ』『プレゼントした物を返せ』と請求してくるケースがあります。

結局口説ききれなくて今までに使ったお金や、渡したプレゼントを返せと言ってきても、嘘をついて騙し取ったのでなければ応じる必要は全くありません。

お店で使ったお金は論ずるまでもなく返金する必要はありあせん。

訴えられるかどうか、という話では請求が認められない場合でも、訴訟提起自体は受理されるので、お客が訴えることは可能です。

しかし、任意の意思での贈与ですので、法的に返還請求をしたとしても認められることはありません。

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お客に訴えられた場合

お客さん訴えるといわれた場合、自分に非があるものの場合は当然ですが、明らかに理不尽、言いがかり、といった場合でも必ず何らかの対処をする必要があります。

相手の弁護士は理屈が立ちそうな事件であれば、その理由を基に訴訟する可能性があります。

裁判所からの呼出を無視すると、相手の言い分に反論が無いとみなされ理不尽な訴えが通ってしまう可能性もあります。

恋愛感情の縺れの場合は、自分の気持ちもある問題なので相手の要望に応えられない場合も多く、その場合は金銭で解決するしか手段がなくなってしまいます。

法律に照らし合わせて自分に非がある場合は、素直に非を認め話し合いでの解決が最も金銭的な負担が少なく済む可能性が高いと思われます。

相手の言い分が、明らかに理不尽、言いがかりの場合は弁護士を立てなくても裁判所で自分の主張をすればいいでしょう。

とにかく、訴えられた場合は訴状の内容にかかわらず、無視をしてしまうと自分にとって不利益が生じる可能性が高いので注意が必要です。

予期せぬトラブルに書き込まれないため

キャバクラやクラブなどで働く女の子の多くは、お店から雇用されること無く、個人事業主(フリーランス)という立場で働いています。

このため、お客さんとのトラブルは自己責任ということになり、お店は責任をとってはくれません。

万が一のトラブルに巻き込まれないためにも、下記の項目に注意し、お客さんを見極めることが重要です。

  • 営業トークを逸脱した嘘はつかない
  • 相手を勘違いさせやすい色恋・枕営業は極力控える
  • 既婚者の男性との付き合いは店内だけにする
  • お金は借りない、もらわない
  • 物をもらうときは貸し出しではなく贈与であることを確認する
  • 連絡はやり取りが残るメール、LINEが望ましい