キャバクラで働くキャバ嬢など、水商売の女の子は国民年金と厚生年金どちらに加入するの?

キャバクラで働くキャバ嬢やクラブで働くホステスさんなどの、いわゆる水商売で働く女の子は、会社勤めのOLさんや、アルバイトとは違い、大半の女の子がお店と雇用契約を交わさず、業務委託契約を結んで個人事業主(フリーランス)という立場で働いています。

お店を運営する立場である店長やボーイは、お店と『雇用契約』を交わしている従業員であるケースが一般的ですが、キャストである女の子の場合、お店に対しての貢献度が極めて高く、お店が手放したくないといった場合や、オーナーの親族(このパターンが多い)、オーナーの愛人など、なにか特別な理由がなければ、水商売でお店が女の子と雇用契約を交わすのは珍しいです。

面接時に出勤日や時間、給料など様々な取り決めがされると思いますが、ここで交わされる契約は雇用契約(労働契約)ではなく、個人事業主との業務委託契約を結んだということになります。

お店から支払われるお金は名目上は給料となっていますが、正確には給料ではなく『報酬金』『売り上げ金』です。

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水商売で働く女の子が納める 税金、保険、年金

お店と雇用契約がある従業員と、雇用契約がない個人事業主(フリーランス)では、「税金」「保険」「年金」の取り扱いに違いがあります。

雇用契約がある従業員は、自分で何もしなくても給料から天引きで適切に処理してくれますが、個人事業主である水商売の女の子は、全て自分で手続きをして支払わなければいけません。

水商売は一般企業で働くOLさんやアルバイトとは少し働き方が異なるため、仕組み自体を理解していない女の子が非常に多く、自分がお店と交わしている契約内容が分かっていない女の子はお店に確認してみましょう。

水商売の女の子が支払う税金は下記のものがあります。

  • 所得税
  • 住民税
  • 健康保険料(国民健康保険)
  • 年金保険料(国民年金)

他に、水商売の女の子は仕事柄お客さんからプレゼントを貰うことがあると思います。年間でもらったプレゼントの総額が一定額を超えた場合は、贈与税が発生します。

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所得税

個人事業主は1年に1回、確定申告の際に所得税を納める仕組みになっています。

個人事業主である水商売の女の子も同様に確定申告の際に所得税を納める必要があるかと思いきや、所得税に限り例外的に、お店が報酬(給料)から10%を天引きして、そのお金を女の子のかわりにまとめて税務署に納めています。

このため、女の子は所得税に関しては確定申告をして自分で支払う必要はありません。

確定申告をしなくても脱税にはならないので、確定申告をする、しないは女の子に任されていますが、確定申告をすれば「納めすぎた税金が戻ってくる」可能性があります。水商売の女の子は個人事業主なので、「ヘアメイクの代金」「衣装代」「交通費」「携帯代」などが経費として認められます。

収入から経費を引くことで所得が少なくなれば所得税も安くなります。このため払いすぎた税金が戻ってくるという仕組みです。他にも年金保険料なども所得控除の対象になります。

「所得」と「収入」は異なります。個人事業主にとっての収入は報酬などで入ってきたお金で、所得は収入から必要経費を差し引いたものです。

住民税

住民税は住んでいる地域に支払う税金です。地方自治体による福祉、衛生、教育、防災など、行政サービスの資金になっています。

毎年6月になると自宅に通知が届き、個人事業主は住民税を年4回に分けて納める必要があります。

住民税額は「均等割」と「所得割」により計算され、「均等割」とは、納税者の所得に関わらず均等に徴収される税金です。「所得割」は、納税者の前年の所得により計算されます。

所得割の計算方法は下記の通りです。

(所得金額-所得控除)×税率-税額控除=「所得割」

しかし、実際に所得に応じた所得税を納めている女の子は一割程度と言われています。

理由は確定申告をしない女の子がほとんどだからです。

収入があることを申告しなければ、国からの扱い上は収入が無い無職ということになるからです。

本来であれば確定申告はしなければいけませんが、水商売は社会のセーフティーネットになっているという側面もあり、業界の様々な事情を考慮して行政はあえて確定申告をしない女の子に対して目をつぶっているというのが現状です。

健康保険(国民健康保険)

医療保険制度は、万が一の病気やケガに備えて、加入者がお金(保険税)を出し合い、必要な医療費にあてる助け合いの制度です。

日本では全ての人がいずれかの医療保険に加入することになっています。

これを「国民皆保険制度」といいます。

会社勤めのサラリーマンは会社で社会保険に加入することになりますが、お店に雇用されていない個人事業主である水商売の女の子を、お店は社会保険に加入させる義務はありません。

このため、個人事業主である女の子は、主に市町村が運営している「国民健康保険」に加入することになります。

国民健康保険の保険料は1年で10回に分けて納める必要があります。

保険料の納付が滞ってしまうと、通常の保険証の代わりに、有効期間の短い短期保険証が交付されたり、保険証を取り上げられ代わりに資格証明書が交付されたり、保険給付が一部差し止められます。病院に係るときに短期保険証や資格証明書を出すのはかなり恥ずかしいです。

支払う税金に優先順位を付けるのはいかがなものかと言われそうですが、経済的に厳しい場合、国民健康保険料は最も優先して納めたい税金(保険税)です。

国民年金

公的年金制度である国民年金は、現行制度上、日本国内に住む20歳以上60歳未満の人は加入が原則義務となっています。

これを「国民皆年金制度」といいます。

会社員、公務員などは厚生年金に加入することになりますが、厚生年金の保険料の中には国民年金の保険料が含まれています。

お店に雇用されていない個人事業主である水商売の女の子を、お店は厚生年金に加入させる義務はありません。

このため、個人事業主である女の子は、国民皆年金制度の基礎年金部分(1階部分)である国民年金に加入することになります。

国民年金保険料を納めていないと未納となり、未納の状態は被保険者にとってメリットは一つもなくデメリットしかありませんので、注意が必要です。

国民年金の保険料を納めないということは本来であれば得ることができる「老齢基礎年金」「障害基礎年金」「遺族基礎年金」を受給することができる権利を失うことになります。

また、未納の状態が続くと延滞金が発生し、段階を経て強制徴収がが行われます。

詳しくは 国民年金の保険料を滞納(未納)のデメリット のページをご確認ください。

キャバクラが女の子を直接雇わない理由

昼間のアルバイトをすると、ほとんどの場合お店に直接雇用されるため、従業員という扱いになりますが、水商売の場合、女の子を直接雇用しないのにはお店側の都合による理由があります。

女の子と雇用契約を交わして従業員にした場合、女の子に支払われる給料は消費税が課されない経費になります。一方、雇用契約を交わさず、個人事業主に業務を外注した場合、支払う報酬は消費税が課される経費になります。

消費税が課される経費が多ければ、お店が確定申告の際に支払う税金の節約になります。

また、女の子と雇用契約を交わして従業員にした場合、お店は女の子を「厚生年金」「健康保険」「雇用保険」に加入させる義務が生じます。

厚生年金、健康保険、介護保険は、お店と女の子が保険料を半分ずつ折半して負担する決まりがあるため、女の子を従業員にするとお店の負担が増えてしまいます。雇用保険も同様で、労災保険料は全額お店が負担することになっています。

一方で、雇用契約を交わさず、個人事業主に業務を外注した場合、社会保障制度の費用が不要のため経費節約になります。