キャバクラで働くキャバ嬢、クラブで働くホステスさんなど、いわゆる水商売で働く女の子は、会社勤めのOLさんや派遣社員、アルバイトとは働き方が異なり、個人事業主(フリーランス)という場合がほとんどです。
自分は求人情報誌を見て応募して普通に面接を受けているからアルバイトだと思っている女の子も、契約上は「雇用契約」ではなく、「業務委託契約」で働いているケースがほとんどです。
個人事業主は「税金」「年金」「保険」の手続きは自分でしなければなりません。しかし、水商売の女の子の場合、例外的に所得税は毎月の給料(※1)から10%が天引されていて、お店が納付の手続きをしています。
※1:正確には個人事業主に対して支払われるお金なので報酬、売上金
この納付した所得税ですが、水商売の女の子は個人事業主であるため、確定申告をすることで、支払いすぎた分の税金が戻ってくる可能性があります。
税金が戻ってくる理由
キャバクラ・クラブなどの夜のお店で働く、いわゆる水商売の女の子は個人事業主(フリーランス)であるため、仕事をする上で必要な出費は経費として認められます。
夜のお店で働く女の子は、自分が商品であるため、自分の商品価値を高める必要があります。このため、お店で着るセクシーなドレスやヘアメイク、ネイル代などが常識の範囲で必要経費として認められます。
他にも、お客さんに来店を促すため営業に必要な通信費(携帯電話代)、プレゼント代なども経費として認められる可能性があります。
お客さんとの飲食店の利用や、女の子同士の女子会であっても、「営業」や「情報交換」「親睦会」といった名目にすれば接待交際費として認められる可能性があります。
収入からこれらの経費を引くことで所得が少なくなれば所得税も安くなります。
しかし、安くなるはずの所得税ですが、水商売の女の子の場合、毎月給料から一律で10%が引かれているため、経費が多ければ多いほど所得税を納めすぎということになります。
この納めすぎた所得税を取り戻す手続きが確定申告というわけです。
- 収入=お店から支払われる報酬
- 所得=報酬から必要経費を指しいたもの
経費として認められる出費
夜のお店で働く女の子は給料の中から仕事のために様々なお金を使っています。このお金を経費として計上すれば所得が少なくなるため、払いすぎた所得税が戻ってきて翌年の税金が安くなります。
このため、多くの出費を経費として計上したいところですが、計上すれば全てが経費として認められるわけではありません。
認められるのは、あくまでも仕事のために使ったお金で使うことに必然性があるお金です。
完全に仕事のみに使用しているものであればいいのですが、プライベートと共用の物は使用している割合で経費として計上することができたり、自分自身への投資など、水商売ならではの出費もあるため注意が必要です。
交通費
お店に出勤するために電車やバス、タクシーなどを使用した場合、これらの費用は経費となります。
自分の車で通勤している人はガソリン代、お店の近くに駐車場を借りている場合は駐車場代も経費として認められます。
但し、仕事用の車とプライベート用の車で使い分けている人は少ないと思います。このため仕事、プライベートで同じ車を使用している場合は、使用している割合に応じてガソリン代を経費として計上することができます。
また、水商売は仕事上お酒を飲むことに必然性があるため代行運転の料金も経費として認められます。
車の車体自体は、通勤のために車を購入することに必然性があるか否かによるため一概に答えることは難しいです。例えば、自宅から徒歩圏内にお店があるのに通勤に車が必要と主張しても認められない可能性があります。
通信費
キャバ嬢、ホステスさんは夜お店に出勤しているときだけが仕事ではありません。
お客さんに来店を促す「電話」「メール」「LINE」などの営業活動も必要な仕事です。このため携帯電話代は経費として認められます。家でWi-Fiを使っていればプロバイダー料金なども経費となります。
仕事とプライベートで携帯電話を完全に使い分けていれば仕事用の電話は全てが経費となりますが、プライベートと共用であれば使用の割合に応じて経費として計上することができます。
広告宣伝費
キャバ嬢、ホステスさんにとっての広告宣伝費というのは、お客さんに個人的に贈るプレゼント代のことをいいます。
「誕生日」「バレンタイン」「クリスマス」から特別なプレゼントから、特にイベント事ではなくてもお客さんのために用意しておいたタバコなどもプレゼントになります。
接待交際費
接待交際費とは名前の通り、「接待」「交際」の際に使ったお金のことです。同伴出勤やアフターなど、お店以外でお客さんと食事したり、デートした際に使ったお金が接待交際費となります。
基本的にお客さんが出してくれる場合が多いと思いますが、謙虚な女や気が利く女を演じてみせるなど、理由は何でもいいのですが、お客さんに御馳走をしたときは接待交際費として計上することができます。
他にも、相手がお客さんでなく、お店の女の子同士の女子会であっても「情報交換」「勉強会」という名目にすれば経費として認められる可能性があります。
消耗品費・備品費
一般的に、使い切り、使い捨て、使っていくうちに消耗したり価値がなくなっていく物を消耗品といいます。
水商売の女の子の消耗品は、文房具、口臭ケア製品、カラコン、お店が用意した物ではない自作の名刺などが該当し、他にも、仕事上必要なものであれば経費として計上することができます。
また、10万円以下の物であればパソコンや腕時計、ヘアドライヤーなどの備品も消耗品と一緒に計上することができます。
10万円以上の物は別途、備品として計上してください。
衣装代
お店で接客時に着る『ドレス』『スーツ』『着物』から、イベント開催時に着る『コスプレ衣装』まで、お店で着用する衣装は全て衣装代として計上することができます。
他にも、同伴、アフターなどお客さんと店外デートの際に着る私服も経費として認められる可能性がありますが、明らかに私服だと思われる『ユニクロ』や『しまむら』などの領収書が認められるかは微妙です。
【経費として認められるもの一例】
- ドレス
- スーツ
- 着物
- 同伴、アフター用の私服
- イベント時のコスプレ衣装
- ヒール
- バッグ
- アクセサリー類
化粧品代
夜のお店で働く女の子は、自分が商品であるため、自分の商品価値を高める必要があります。
自分を綺麗に着飾ることに必然性があるため、化粧品、メイク用品などは経費として認められます。
美容院代
高級クラブのママさんクラスにもなれば出勤前に美容院に寄って盛り髪をセットするなんてこともあるかもしれません。髪の毛のセット代も仕事のためにしていることなので経費となります。
美容院でのカット、カラー、パーマなどはプライベートと仕事の区別をつけることができませんが、日常的に身だしなみには注意する必要がある職種であるため、常識の範囲内の金額であれば基本的に全額経費として計上しても問題ありません。
美容代
夜のお店で働く女の子は、自分が商品であるため、自分の商品価値を高める必要があります。『エステ』『ネイル』『脱毛』など、自分を美しくするために必要な費用は常識の範囲内で金額であれば経費として認められます。
サプリメントやダイエットにかかったお金なども認められる可能性があります。
雑費
上記のどれにも当てはまらない出費は雑費として計上することができます。
しかし、水商売の女の子の出費は、ほとんどが上記のいずれかに該当するのではないかと思います。
確定申告の際に注意すること
水商売の女の子の出費には、衣装・美容院・美容代など、仕事とプライベートの線引きが曖昧なものがたくさんあります。使用の割合で計上することができるものであればいいのですが、できないものもたくさんあります。
正直言って領収書1枚では仕事用の物なのかプライベート用の物なのか第三者は分からないため、プライベート用の物も経費として申告したい気持ちも分かりますが、申告する際は正直に申告するようにしましょう。
また、水商売の女の子は物を売るのではなく、自分が商品のため、仕入れ原価がありません。このため、基本的に赤字になることは無いと思いますが、出勤日数が極端に少ない場合など、稀に赤字になる可能性もあります。しかし、一般的に考えて水商売の女の子が赤字になるのは経費の使いすぎです。当然ですが、経費として計上した全てが認められるわけではなりませんので注意してください。
他に注意してほしいのが、例えば『カラコン』の場合、このページでは消耗品に該当すると紹介していますが、衣装代として計上しても問題ないと思います。実は項目分けはそこまで細かく言われません。しかし、一度計上したら次回も同じ項目で計上するようにしましょう。