レディースデイ・女性優遇のサービス料金は男女差別、女性蔑視になるのか法的な見解を解説

映画館、カラオケ、レストランなどのサービス"レディースデー(Ladies Day)"ですが、一部からは"男女差別"になるのではないかといった声があります。

男女平等の理念は、日本国憲法に明記され、法制上も男女平等の原則が確立されています。

日本では、1985年(昭和60)女性差別撤廃条約を批准し、男性も女性もともに参画する社会を目指して、2000年(平成12年)に「男女共同参画基本計画」が策定され、2015年(平成27年)には、第4次策定による取組が進められています。

しかし、現実は性別による差別、格差を感じている女性は多いようですが、未だに日本社会に強く根ずく男女差別の問題は、今回は置いといて、主にサービス業で行われている『レディースデー』『女性優遇料金』が男女差別に該当するのか法的な見解を解説します。

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性別による差別の禁止

日本国憲法の第14条1項に性別による差別に関する規定があります。

すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

憲法には『性別による差別はしてはいけない』と明記されています。

しかし、最高裁判所はこの規定に関して『絶対的な平等を保障したのではなく、合理的な差別化(区別)であれば許容されるべき』としています。

合理的な差別化(区別)というのは、働く女性に対して、産休や生理休暇が認められるというもです。

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合理的な差別化(区分)

レディースデーが男女差別になってしまうのかの判断は、合理的な差別化に該当するか否かによります。

企業がレディースデーを設ける理由は、営利目的の営業的なものです。

公的機関が女性であるという理由だけで特別なサービスを行っていたら問題があるかもしれませんが、営利目的である民間企業が営業上合理的な理由で経営戦略としてレディースデーを設けることは法的に問題がないとされています。

男性同士の利用が比較的少ないような映画やカフェでも、女性同士での利用は日常的であり、女性は複数での行動を好む傾向にあります。

友達同士で気に入ったお店の情報交換やSNSでの発信も、男性と比べて多いため、経営戦略を考えれば、男性を優遇するよりも女性を優遇が効率的です。

学生・高齢者の優遇

一部の器の小さな男性が騒ぎ立てるため『レディースデー』だけが注目されていますが、携帯電話の学割、スーパーでの60歳以上ポイント2倍などのサービスも同様です。

働きだす前の学生を早期に囲い込む携帯電話の学割や、お客さんが少ない平日の昼間に時間に余裕があるシニア世代のための60歳以上ポイント2倍デーは年齢差別ではなく経営戦略です。

高齢者の場合、金銭的な優遇ではありませんが行政機関でも様々なサービスを受けられますが、これは社会福祉場という観点から差別にはなりません。

女性が優遇される理由

なんでレディースデーはあるのにメンズデーはないのかと疑問に思う人もいるかもしれませんが、女性が優遇されるのは、経済学でいう"価格弾力性"が関係しています。

価格弾力性とは、価格の変化に対して需要がどの程度増減するかを示すもので、『需要の変化率÷価格の変化率×マイナス1』で算出されます。

【価格弾力性が高いケース】
正規の価格から10%値下げして、需要が20%増加すれば、計算式は『20 ÷(-10)×(-1)』となり、価格弾力性は『2』となります。算出された数値が『1』より大きい場合は、値下げをすれば売り上げが伸びるということになります。
【価格弾力性が低いケース】
正規の価格から10%値下げしたのに、需要が5%伸びなければ、計算式は「5 ÷(-10)×(-1)」となり、価格弾力性は『2分の1』となります。算出された数値が『1』より小さい場合は、値下げをしても売り上げは伸びないということになります。

男女で価格弾力性を比べた場合、女性の方が割引に対して敏感で、女性をターゲットに値下げをすれば集客に繋がります。このため映画館やレストランはメンズデーではなくてレディースデーを設定しているのです。

以前、TOHOシネマズでは名称は定かではありませんが、『メンズデー』なるサービスがありましたが、現在は実施されていません。思ったほどの集客に繋がらなかったことがサービス終了の要因と思われます。

学生・高齢者の優遇

一部の器の小さな男性が騒ぎ立てるため『レディースデー』だけが注目されていますが、携帯電話の学割、スーパーでの60歳以上ポイント2倍などのサービスも同様です。

働きだす前の学生を早期に囲い込む携帯電話の学割や、お客さんが少ない平日の昼間に時間に余裕があるシニア世代のための60歳以上ポイント2倍デーは年齢差別ではなく経営戦略です。

高齢者の場合、金銭的な優遇ではありませんが行政機関でも様々なサービスを受けられますが、これは社会福祉場という観点から差別にはなりません。

差別に該当するケース

民間企業の経営戦略は法律に基づいて範囲内で一定の自由があります。

最高裁判所の『合理的な差別化(区別)であれば許容されるべき』という見解の範囲を超えて違法と判断されるには、合理的な差別化と呼ぶにはかけ離れた明らかな差別に限られます。

女性は半額といったケースでも違法性を問えるかは微妙です。

違法と判断されるのは、女性が得ということより、男性が不利益を被るようなケースに限られるかと思われます。