水商売で働くキャバ嬢、ホステスさんは収入だけをみれば、昼間働く同年代の女の子よりも高収入かもしれません。
しかし、高収入にもかかわらず『クレジットカードの審査に落ちた』『オートローンが通らなかった』という話をよく聞きます。
水商売で働く女の子の社会的地位、信用度は世間からどのように評価されているのでしょうか?
現役の『銀行員』『証券マン』『ファイナンシャルプランナー』に疑問をぶつけてみました。
水商売の社会的地位・信用度
水商売で働く女の子の多くは、お店と雇用関係を結ぶこと無く、個人事業主(フリーランス)という立場で働いています。
これは水商売に限ったことではありませんが、会社勤めのサラリーマン、OLさんと比較して不安定な要素が多い個人事業主は金融関係の審査は厳しい傾向にあります。
また、水商売は業界特有の理由もあり、キャバ嬢、ホステスさんの社会的地位・信用度が高いとは言い難い現状にあります。
理由は、聞けば納得の合理的なものから、偏見が強いものまで様々なものがありますが、主な理由は下記の通りです。
年齢が若い(社会人経験が短い)
水商売で働く女の子、特にキャバクラで働くキャバ嬢は10代~20代という若い年齢が多い傾向にあります。
若いということは社会人歴が短い(勤続年数が短い)ということになり、過去に金融機関との取引歴が少ない(判断材料が少ない)ということになります。
クレジットカードを作る場合や、ローンを組む場合、各金融機関は"信用情報機関"に登録された情報を参考に審査をします。
ここに当然ネガティブ情報(金融事故)があれば審査にマイナスとなりますが、今まで全く取引歴がなければ判断材料がないということになります。
このため、金融機関の審査では、若いという理由だけでマイナスにはなりませんが、金融機関も審査に慎重になる傾向にあります。
水商売は無職扱いされるケースがある
個人事業主であるキャバ嬢、ホステスさんは、自分で確定申告をしなければいけません。
しかし、水商売で働く女の子で確定申告をしている女の子は1割程度といわれています。
例外として所得税に限り源泉徴収という形でお店を介して納税しているため、確定申告をしなくても脱税にはなりませんが、1年間の収入を申告する確定申告で、収入があることを申告しない場合、収入が無いということになり、公的機関からは無職という扱いになります。
実際に収入があったとしても、公的機関から無職として扱われている人は、金融機関からも無職として扱われます。
無職ということは当然、クレジットカードや各種ローンの審査の際に致命的です。
ただし、絶対に審査に通らないかというと、金融機関によっては審査の厳しさに大きな開きがあり、会社への在籍確認を必要としなかったり、所得証明などの提出が不要な審査の甘い金融機関なら普通に審査に通ります。
なにより、水商売の女の子の多くは確定申告をしていないというのは周知の事実だからということもあります。
傾向として長続きする仕事ではない
傾向として水商売で働く女の子の多くは、お店を転々として同じお店で長期間働いているというケースは少なく、水商売自体、若いうちだけと考えている女の子が大半を占めます。
実際に結婚を機に水商売を辞めたり、20代後半くらいで昼間の仕事に転職する女の子が多いのが現状です。
金融機関も水商売は長続きする仕事だとは思っていません。
審査の際に、勤続年数は重要な項目であり、将来が不安定と言わざるを得ない水商売では担保がなければ車や住宅などの長期的なローンを組むことは難しいかもしれません。
クレジットカード・各種ローン・賃貸の審査状況
金融機関の審査には、年齢、収入、勤続年数、過去に金融事故の有無などがありますが、各金融機関とも詳しい内容は異なり公開されていません。
審査の厳しさには大きな開きがあるため、一概にはいえませんが、下記のような傾向があります。
クレジットカード
「クレジットカード」の審査では年収や勤続年数といった属性情報が重視されますが、特に重視されるのか『収入』と『金融事故歴の有無』です。
収入は大まかに『収入がある』『安定継続収入がある』『一定額の安定継続収入がある』に分かれます。
詳しい審査基準は公開されてはいませんが、「アメリカン・エキスプレス」「ダイナースクラブカード」また、各カード会社の「ゴールドカード以上」は、審査が厳しく、安定継続収入以上のものが求められる可能性がありますが、各カード会社のスタンダードカードなどは、過去に金融事故がなく、収入があれば水商売で働く女の子も問題なく審査に通ります。
比較的「ヤフーカード」「楽天カード」「流通系カード」「消費者金融系カード」は審査が甘いといわれています。
カードローン(キャッシング)
カードローン(キャッシング)と一括りに言っても銀行と、信販会社、消費者金融では少々事情が異なります。
「消費者金融」「信販会社」からの借り入れは「総量規制の対象」になるため、年収の3分の1以上の借り入れはできません。
消費者金融・信販会社のカードローン契約の際は、年収を証明する書類の提出が必要です。
確定申告をしていて収入があることを証明することができる場合は、水商売であっても総量規制に引っかかっていなければカードローンの審査は水商売だからといって不利益になることはありません。
銀行からの借り入れは総量規制の対象外なので、理論上は借り入れができますが、既に年収の3分の1以上の借り入れがある場合は難しいかもしれません。
賃貸契約
部屋の貸し出し条件には不動産屋や大家さんの意向が大きく反映されるため、一概にはいえませんが、一部の高級なマンションなどを除けは、水商売であっても収入があれば基本的に部屋は借りることができます。
保証人は必要ですが、これは水商売に限ったことではありません。
また、繁華街には水商売で働く人を対象に営業している不動産屋もありあす。
いずれにしろ、部屋を借りるにあたっては、水商売だからといって不利になることは少ないように思われます。
オートローン
オートローンは返済期間が長期に渡る可能性が高く、現時点で収入があっても将来に渡り収入が安定しているとは言い難い水商売で働く女の子は審査が厳しい傾向にあります。
しかし、絶対に組めないというわけではありません。
ローンで車を購入した場合、車の"所有者"は、銀行・信販会社などのお金を貸した人になり、自分は車の"使用者"とういことになります。
万が一返済がが滞ってしまった場合、車を取り上げてしまえばいいので、絶対に審査は通らないということはありません。
申し込み差の際は、借り入れしたい金額の10%~20%程度の頭金を用意すると審査が通りやすい傾向があります。
住宅ローン
住宅ローンは返済期間が長期に渡るため、今現在の収入よりも将来に対しての安定性が重視される傾向にあります。
将来に渡って安定継続的に収入が入ってくる保証がない水商売の女の子が住宅ローンを組むことはかなり厳しいでしょう。
ローンを組むためには当然ですが、保証人は必要になります。頭金も通常よりも多くの金額を用意しなければいけません。通常より早い年数での返済が求められます。
土地は自己が所有しており、ローンは上物(家のみ)といった場合などは審査が通りやすいかもしれませんが、いずれにしろ審査は厳しいでしょう。
但し、住宅ローンの場合、借り入れの金額が大きく、返済期間も長期に渡りますが、支払いが滞ってしまった場合は、家を差し押さえしてしまえばいいため、絶対に審査に通らないというわけではありません。
金融事故には注意が必要
クレジットカードの支払いやローンの返済が滞ると名前が載ってしまうと思われている"ブラックリスト"ですが、認識としては間違ってはいませんが、融業界においてブラックリストなるものは存在しません。
金融機関と取引をした情報は信用情報機関に登録され、銀行などの金融業者は信用情報機関に登録された情報を元に取引を判断します。
登録される情報は「新たにクレジットカードを作った」などの様々なものがありますが、その中でも「返済の滞納」「自己破産」などのネガティブな情報が登録されている状態をブラックリストに名前が載ると表現しています。
この通称ブラックリストですが、自分は大丈夫だと思っていても、実は多くの人が気が付かないうちに名前が登録されてしまっています。
理由は携帯電話料金です。
携帯電話を契約する際に、高額な機種を一括で購入している人は少ないと思います。多くの人は1~2年の分割払いで購入していると思いますが、この契約も携帯会社の関連会社である金融業者が間に入っています。契約としてはローンを組んで購入しているのです。
分割の支払いは、携帯料金と一緒に請求されるため、携帯料金の支払いが滞ってしまうと、「返済の滞納」としてブラックリストに名前が載ってしまい、各種金融取引において支障をきたしてしまうので注意が必要です。
信用情報機関
日本には三つの信用情報機関があります。類似するものが多いですが、全てが独立した機関で、各信用機関が独自の判断基準で登録する内容・期間を定めています。
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC)
http://www.zenginkyo.or.jp/pcic/
(銀行、信用金庫、信用組合、農協、労金などが加盟) - 株式会社 シー・アイ・シー(CIC)
http://www.cic.co.jp/
(貸金業者、クレジット会社、リース会社、保証会社、金融機関などが加盟) - 株式会社日本信用情報機構(JICC)
http://www.jicc.co.jp/
(クレジットカード会社、信販会社、リース会社、消費者金融、携帯電話会社などが加盟)
信用情報の調査
信用情報機関には、本人開示制度というものがあります。
開示請求の手続きをすれば個人でも簡単に自分の信用情報を確認することができます。
開示請求は本人でなくても家族などの第三者が手続きをすることも可能ですが、高度な個人情報なので受けとることができるのは本人に限られています。
但し、自分が取引した金融機関が、どこの信用情報機関を使っていたのか分からなければ、全ての信用情報機関に情報開示請求する必要があります。
情報開示の手続方法は、信用情報機関によって必要書類、手数料が異なるため詳細は公式ホームページで確認してください。