水商売の『同伴』『アフター』が仕事とみなされ、時間に対して金銭が支払われることはないのでしょうか?

キャバクラで働くキャバ嬢やクラブで働くホステスさんが、お店に出勤する前にお客さんと食事などのデートをしてから出勤する『同伴出勤』、お店が終わってからお客さんとカラオケや飲みに行ったりする『アフター』ですが、仕事とプライベートの線引きが難しい部分もあるかもしれませんが、女の子が同伴、アフターに費やした時間に対しての報酬は正当なものと言えるのでしょうか?

『同伴出勤』の場合は、お客さんに同伴料として料金が発生するケースが多く、支払われたお金はお店を介して女の子の報酬となります。

しかし、女の子に支払われる報酬は、予め金額が決められているケースが多く、時間に対し支払われるものではありません。

一方で『アフター』は、基本的にお客さんにアフター料金といったものは発生せず、お店から女の子に対して金銭のバックもありません。

『同伴』『アフター』が仕事とみなされ、時間に対して金銭が支払われることはないのでしょうか?

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雇用契約の有無

『同伴』『アフター』が業務の範囲として認められるかの判断材料に『雇用契約の有無』があります。

キャバクラで働くキャバ嬢、クラブで働くホステスさんなどの、いわゆる水商売で働く女の子の多くは、お店と雇用契約を結ぶこと無く、個人事業主(フリーランス)として業務委託契約を結んで働いています。

自分は求人情報を見て普通に応募しているからアルバイトだと思っている女の子も、水商売の女の子で直接雇用されるケースは珍しいので一度確認してみたほうがいいでしょう。

雇用契約がある場合

お店と雇用契約を交わした従業員という立場で働いている女の子は、一般企業で働くOLさんと同じで、労働基準法が適用されます。

労働基準法では法定労働時間が定められており、具体的な規制内容は、1日の労働時間は8時間まで、1週間の労働時間は40時間まで、というのが原則です(労働基準法32条)。

労働基準法では「法定労働時間」を超えて使用者が労働させた場合には、法律で決められた割合以上の割増賃金を支払わなければならないと定められています。

この時点ではまだ、『同伴』『アフター』が業務として認められるかは判断できませんが、認められる可能性があるのは、雇用契約を交わし、従業員という立場で働いている女の子です。

雇用契約がない場合

お店と雇用契約を結ぶこと無く、個人事業主(フリーランス)として業務委託契約を結んで働いている女の子は、労働基準法が適用されません。

自分が活動する場所としてお店を借りているという扱いのため、1日何時間働いたとしても、時間外手当などのお金は発生しません。

個人事業主に支払われるお金は給料ではなく報酬であり、時間に対して支払われるものではなく成果に対して支払われるものです。

最初の契約時に『同伴』『アフター』に対して、特に取り決めがなければ、報酬が支払われなくても問題はありません。

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指揮命令権の有無

『同伴』『アフター』が業務の範囲として認められるかの判断材料に『指揮命令権の有無』があります。

簡単に言うと、『同伴』『アフター』がお店の指示によるものかということです。

労働基準法が適用される、雇用契約がある従業員という立場の女の子が、お店からの指示・命令で『同伴』『アフター』をして、お店で働いた時間と同伴またはアフターの時間を合わせた時間が『法定労働時間』をオーバーすれば、残業・早出といった時間外勤務が認められる可能性があります。

お店から指示・命令があれば、それは業務として認められます。

同伴出勤のノルマが課せられている場合、それはお店からの指示・命令があると判断してもいいでしょう。

しかし現実問題、お店が指示しているにも拘わらず、同伴、アフターは女の子の任意によるものとしているケースほとんどです。仕事とプライベートの線引きは難しいこともあり、分かりやすく言えば、曖昧、うやむやにしています。

同伴手当、アフター手当などのように賃金が支払われることはありますが、時間に対して賃金が支払われるケースは極めて珍しいです。

個人事業主の指揮命令権

業務委託契約は、当事者の一方が注文主から受けた一定の業務を処理することや、仕事の完成を約束し、注文者が報酬を支払う請負契約や委任契約のことを指します。

業務委託契約では、『依頼主は依頼した仕事に対して報酬を支払うため、具体的な指揮命令を行うことができない(※1)』と定められており、女の子は お店から指示、命令を受ける立場にありません。

さらに、業務委託契約は『仕事を行う上で、労働時間を管理されることはない(※2)』とされています。

お店は自分が活動を行う場所を借りているというのが本来の姿です。

水商売で働く女の子は自分が商品であるため、『同伴』『アフター』は、自分を売り込み、売り上げにつなげる営業活動であるため、自分の意志で自由に決められなければいけません。

このため、報酬に関しての取り決めが特にない場合、お店は『同伴』『アフター』に対し、報酬を支払わなくても問題はありません。

※1,2を読んで働き方に矛盾を感じる人がいるかもしれません。水商売の女の子の働き方については、別ページで詳しく解説しています。