個人事業主(フリーランス)は確定申告をして自分で税金を納めなければいけませんが、水商売で働くキャバ嬢やホステスさんは例外的に源泉徴収という形でお店を介して事前に税金を納めているため、必ずしも確定申告をしなければいけないということはありません。
実際に確定申告をしている女の子の割合は1割に満たないともいわれています。
ネット上ではキャバクラやクラブなどで働く水商売の女の子が確定申告することは、得なのか損なのか様々な目線で解説されていますが、結論を言ってしまうと、『得する人』もいれば、『損する人』もいます。
得なのか損なのかは『稼いでいる金額』『仕事のために使ったお金』『家族構成』などにより異なるからです。
確定申告とはどんな制度?
確定申告は、毎年1月1日~12月31日までの1年間に得た個人の所得にかかる税金を計算し、源泉徴収された税金や予定納税で納めた税金などとの過不足を精算する手続きのことを言います。
分かりやすく言えば、1年間にその人が払う税金はいくらだったのかを確定させるために、収入や経費を税務署に申告して、所得税を支払う(既に納めている場合は返してもらう)手続きの事をいいます。
確定申告をすると水商売で働く女の子はどうなる?
本来であれば一定の所得がある人は確定申告しなければならないため『得なのか』『損なのか』という言い方が適切かは分かりませんが、ひとまずルールや義務といった話は置いときます。
- 行政から労働者として認められる
- 経費を計上すれば払いすぎた税金が戻ってくる
- 親、夫の扶養に入っている人は扶養から外れる
- 自分で国民健康保険に加入しなければならない
- 所得に応じた住民税を支払わなければならない
行政から労働者として認められる
確定申告をしないという事はお店を介して報酬の10%を税金として納めていたとしても、行政からは『無職』という扱いになってしまいます。
一年間の収入を申告する確定申告で、収入があることを申告しないのですから、収入が無いということになり、無職という扱いになります。
実際は収入があったとしても扱いは無職なので、収入が無いとみなされ、信用がないということになります。
無職の人は生活していく上で様々な弊害があります。
- クレジットカードが作れない
- 自動車ローンなどの各種ローンが組めない
- アパート、マンションなど部屋を借りられない
- シングルマザーの場合、子供を幼稚園や保育園に預けることが出来ない
但し、民間会社が取り引き相手となる場合、審査の厳しさに違いがあります。年収欄に実際の収入を記載すれば詳しいことは調べられないで審査が通るケースもあります。
確定申告するということは、『収入があるとを証明し、労働者として認定される』=『社会的信用を得る』ということです。
経費を計上すれば払いすぎた税金が戻ってくる
キャバクラで働くキャバ嬢など、いわゆる水商売の女の子は個人事業主(フリーランス)であるため、仕事をする上で必要な出費は経費として認められます。
- 収入=お店から支払われる報酬(給料)
- 所得=報酬から必要経費を引いたお金
- 経費=仕事上必要な出費
【経費として認められるもの】
- お店に通勤するための電車、バス、タクシー、自家用車のガソリン代などの交通費
- お客さんとのやり取りに必要な携帯電話などの通信費
- お客さんと店外デート(同伴・アフター)の交際費
- お店で接客時に着る『ドレス』『スーツ』『着物』などの衣装代
- 自分の商品価値を高める『化粧品』『美容院』『美容』などの代金
- その他、多岐にわたり様々な費用は雑費として計上可能
これらの経費を収入から引くことで所得が少なくなれば所得税も安くなります。
しかし、安くなるはずの所得税ですが、水商売の女の子のは源泉徴収という形でお店を介して事前に報酬の10%を収めているため、経費が多ければ多いほど所得税を納めすぎということになります。
確定申告することで既に納めている税金から納めすぎた税金を取り戻すことができます。
扶養に入っている人は扶養から外れる
親または旦那さんの扶養に入っている女の子が、年間38万円(給与所得の場合103万円)以上稼いで確定申告をすると扶養から外れることになります。
扶養は、する側、される側の双方に大きな経済的メリットがあります。
扶養する側のメリット
扶養する側は、所得税や住民税といった課税所得から一定の金額を控除されるため節税になります。一方で、扶養から外れてしまうと控除されていた金額分の税金が増えてしまい、税金や保険料が高くなります。
どれくらい負担が増えるかは、税率によって異なります。
扶養される側のメリット
親または旦那さんの扶養に入っていれば扶養家族(扶養されている人)は、健康保険も扶養者の保険に加入することができるため、自分で健康保険の保険料を支払う必要がありません。
自分で国民健康保険に加入しなければならない
確定申告して親の扶養から外れると、親の健康保険からも外れるということになります。
日本には『国民皆保険』という制度があり、日本のすべての国民は『公的医療保険』のいずれかに加入することになっています。
親の健康保険を外れた場合、自分で国民健康保険に加入して所得に応じた保険料を支払わなければいけません。
所得に応じた住民税を支払わなければならない
親の扶養から外れると自分の所得に応じた住民税を支払う必要があります。
本来であれば一定の所得がれば扶養から外れて自分で所得に応じた住民税を納めるのは当たり前のことです。
しかし、水商売で働く女の子の場合、自分が確定申告しなければ扶養から外れることはありません。
水商売や風俗業はある意味で社会のセーフティーネットとなっていた側面もあるため、様々な状況を考慮して、行政はあえて問題としていなかったというのが実情でした。
しかし、確定申告をすることで所得が明確になるため住民税を支払わなければならなくなります。
多くの女の子は金銭的負担が増える傾向にある
水商売で働く女の子には、親と同居、婚姻の有無、一人暮らしかなどの家族構成や、稼いでいる金額、仕事のために使ったお金など、様々な状況により『得するか』『損するか』が異なります。
【確定申告するメリット】
- 収入があることが証明され、労働者として認定され、社会的信用が得られる
- 既に納めている税金から納めすぎた税金を取り戻すことができる
【確定申告するデメリット】
- 扶養家族から外れることにより、今まで扶養していた側は控除されていた金額分の税金が増えてしまう
- 扶養から外れることにより、自分で所得に応じた健康保険料を負担しなければいけない
- 所得があることが明確になるため住民税を納める必要がある
本来であれば一定の収入がある場合、確定申告はしなければいけません。バレたらペナルティもありますが、まずバレることはありません。
これが水商売業界のグレーゾーンの部分です。
自分がどちらに該当するかを確認して、確定申告するしないは自己判断でお願いします。