個人投資家が得する制度 NISA(ニーサ)条件・金額・期間 知らないと危ないデメリット

NISA=ニーサ(少額投資非課税制度)とは、文字通り株式や投資信託の投資に対して、税制上20%かかる売却益と配当への課税を、年間120万円を上限に非課税とする税制優遇制度です。

個人投資家にとっては お得なに思えるこの制度ですが、 最初に言ってしまいますが、NISAは全ての投資スタイルの人にとっておすすめできる制度とは言い難い部分もありますので、始めるにあたっては制度を正しく理解する必要があります。

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NISA=ニーサ(小額投資課税制度)どんな制度?

NISA(少額投資非課税制度)は、少額の投資が非課税になる税制優遇制度です。

制度の適用を受けるためには NISA専用口座を開設して、その口座内で取引を行う必要があり、口座を開設することができるのは、開設する年の1月1日の時点で20歳以上の日本国内居住者に限られます。

毎年の非課税投資枠の上限は120万円(最大600万円)となっており、金融商品の取得(購入)から売却まで最長5年間、得られた利益に対して、本来であれば 20.315% 掛かる税金が非課税になります。

一般口座・特定口座NISA口座
税率 20.315%
(内訳 所得税:15.315%・住民税5%)
非課税

日本は個人の金融資産における預金の割合が他国と比較すると突出しており、預金から株式投資へシ資産をフトさせ、経済成長を企図すると共に、個人の資産形成を支援することを目的にしています。

専用口座(NISA口座)の開設

制度を利用するにあたって専用口座の開設が必要になります。非課税口座は1人につき1口座のみ開設可能で、口座開設時に他の金融機関において金融機関を変更する場合を除き、同制度を対象とした口座(NISA口座)が開設されていない必要があります。

既に、一般口座・特定口座で株式の取引をしている人も新たに専用のNISA口座を開設しなければいけません。口座を開設しない理由は見当たらないので、すぐに開設しましょう。

口座開設に関する注意事項

  1. NISA口座の開設は、金融機関を変更した場合を除き、1人につき1口座に限られ、複数の金融機関に口座を開設することはできません。
  2. 金融機関の変更に伴い複数の金融機関でNISA口座を開設された場合でも、各年1つのNISA口座でしか取引ができません。
  3. 金融機関を変更される年分の非課税管理勘定にて、既に金融商品を買い付けしている場合、その年分については金融機関を変更することはできません。
  4. NISA口座内に保有されている商品を他の金融機関に移管することができないため、移管にはは一度現金化が必要となります。

非課税の対象になる金融商品

制度の対象となる「上場株式等」に該当する金融商品とは、上場株式、株式投資信託、上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J-REIT)などです。NISA口座で運用して得られた 売却益、上場株式の配当金、株式投資信託・ETF・J-REITの分配金が非課税となります。

上場株式(国内・海外)、店頭管理銘柄株式、REIT(国内・海外)、上場株式投資信託の受益権、上場投資証券、上場未公開株式等投資法人の投資口、上場外国投資法人の投資口、上場新株予約権、上場新株予約権付社債、上場転換特定社債、上場新優先出資引受権付特定社債、上場優先出資証券

少額投資非課税制度(NISA)では全て金融商品が対象となるわけではありません。非対象の主な例を挙げると下記の通りです。

預貯金、非上場株式、上場株式の信用取引、FX(外国為替証拠金取引)、債券(国債・地方債・社債など)、貴金属(金・プラチナなど)、仮想通貨

主な例を挙げると、預貯金、非上場株式、上場株式であっても信用取引、FX(外国為替証拠金取引)、国債・地方債・社債などの債権、金・プラチナなどの貴金属、ビットコインなどの仮想通貨は、NISA制度の対象ではないため非課税にはなりません。

NISA(少額投資非課税制度)デメリット

NISA=ニーサ(少額投資非課税制度)は税制面で優遇を受けられるなどのメリットがありますが、注意しなければならないこともあり、実質的に経済的損失が発生してしまう可能性もあり、この可能性が思っているより高いです。

正直、NISAは全ての投資スタイルの人にとっておすすめできる制度とは言い難い部分もありますので、始めるにあたっては、制度に対する十分の理解が必要です。

マイナンバー(個人番号)の提出

現在 NISA口座の開設にはマイナンバー(個人番号)の提出が義務付けられています。マイナンバーの提出で面倒だった口座開設の手続きが改善された一面はありますが、このマイナンバーの提出が投資家に敬遠される理由になっています。

今現在はマイナンバーの提出を拒む理由は感じられませんが、将来的に様々な個人情報がマイナンバーに紐付けされることを懸念しているようです。

口座開設・変更に時間がかかる

NISA口座は年ごとに1つの金融機関にしか開設ができません。このため、口座開設にあたって金融機関は税務署を通して口座の2重開設にならないように確認する必要があります。この手続きで税務署側での確認が完了するまでに2週間程度の時間を要します。

NISAは年単位で金融機関を変更することが可能ですが、金融機関から必要書類を取り寄せ、定められた期間内に手続きをしなければならず、非常に煩雑な手続きを踏まなければなりません。

この手続きが想像以上に大変で、携帯会社の乗り換えの比ではありません。NISA口座を開設する際は変更をしないことを前提に慎重に選んだ方がいいでしょう。

非課税投資枠が120万円と低い

NISAの非課税投資枠は1年あたり120万円です。このため投資単位が120万円を超える銘柄はNISAでの投資はできません。

また、投資したい株式が、銘柄A(60万円)、銘柄B(50万円)、銘柄C(40万円)のように3銘柄ある場合、銘柄A・銘柄Bの2銘柄 110万円はNISAで購入することができますが、銘柄C(40万円)は、非課税投資枠が10万円残っていてもNISAで購入することはできません。

NISAは損益通算ができない

例えば、同一年内にNISA口座以外の課税口座で取引を行い、「A銘柄の取引で20万円の利益が発生」「B銘柄の取引で20万円の損失が発生」したとします。

この場合、利益と損失を相殺する損益通算が可能のため税金は発生しません。

一方、同じ売買でも、利益が発生したA銘柄が課税口座で、損失が発生したB銘柄がNISA口座であった場合、B銘柄で発生した損失は損益通算の対象にはなりません。

結果、A銘柄の取引で得た20万円の利益は、損益通算ができないため、約20%の税金を納める必要があり、NISAの利用により税金の負担が増えてしまったということになります。

また、NISAで発生した損失は、翌年に損失を繰越して翌年の利益と相殺する「損失の繰越控除」にも利用することができないので注意が必要です。

非課税期間終了時の選択

5年の非課税期間が終了時、投資家は保有する株式をどうするか下記に挙げる選択肢から選ぶ必要があります。

  1. 非課税期間が終了するまでに売却する
  2. 翌年の非課税投資枠に移管する(ロールオーバー)
  3. 課税口座に移管する

非課税期間終了するまでに保有する金融商品を売却する

NISAで購入した金融商品はいつでも自由に売却することが可能です。

購入時の価格より値上がりしていれば 利益を得られるが課税されず 制度の恩恵を受けることになるが、購入価格より値下がりしていれば、NISAで取引したメリットはなかったことになります。

非課税期間が終了する翌年の非課税投資枠に移管する

例えば、2014年にNISAで購入して保有し続けた金融商品の非課税期間は2018年末に終了しまする。同じ金融機関で2019年もNISAを利用する場合、2019年の非課税投資枠に2014年にNISAで購入した金融商品を移管することができます。

新たな非課税投資枠に保有する金融商品を移管することを「ロールオーバー」するといいます。

新たな非課税投資枠に移管した金融商品の非課税期間は実質的に5年間延長したことになります。

なお、非課税投資枠の上限は120万円ですが、ロールオーバーする金融商品の評価額が、120万円を超えていたとしてもロールオーバーすることができます。

【ロールオバーの注意事項】
  1. ロールオーバーは同一の金融機関内でしかできない。
  2. ロールオーバーした金融商品は新たにNISAで購入したものと同様に扱われるため、その年の非課税対象枠を使用したことになる。
  3. 今現在、この制度は2023年までとなっているため、2024年は非課税対象枠は無くなる。

課税口座に移管する

非課税対象期間内に売却をせず、ロールオーバーできる非課税投資枠ながい場合、利益が出た際に約20%の税金が課税される一般口座・特定口座に移管されます。その際非課税期間が終了する時点の価格で課税口座に移管されことになります。

例えば、非課税期間に80万円で購入した金融商品が口座移管時、100万円に値上がりしていた場合、100万円で購入したことになるため、さらに120万円まで値上がりしたとしても売却時に課税されるのは20万円に対してのみとなります。

逆に最も注意が必要となるのが課税口座に移管時 値下がりしているケースです。

非課税期間に80万円で購入した金融商品が口座移管時、50万円まで値下がりしていた場合、制度上50万円で購入したことになるため、そこから値上がりして70万円で売却した場合、50万円からの値上がり分 20万円に対して約20%の税金が課税されることになります。

実際は80万円で購入しており10万円の損切りですが、制度上は利益が発生しているとみなされるため損しているにもかかわらず約2万円を納税しなければなりません。これを嫌い金融商品の塩漬けが懸念されます。