消費増税に伴う景気対策 軽減税率制度 対象品目 税率 注意すべき点

2019年10月1日 消費税が8%から10%に引き上げられました。

消費税増税は家計に直接の負担が生じるものですが、何年も前から地ならしがされており、夏の参院選の自民党の勝利から判断するに、消費増税やむなし、おおむね受け入れられたと言えます。

政府は消費税増税に伴い、十分な対策を講じているため、景気失速はないとしていますが、消費税増税により約5兆7000億円が国民の負担となります。

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軽減税率制度 導入の目的

過去2回の消費税増税では、国内総生産(GDP)の約半分を占める個人消費が大きく落ち込み、日本は景気悪化に直面してしました。

1997年4月3%から5%に税率を引き上げた際の個人消費は、実質ベースで96年度の前年度比2.5%増に対し、翌年度は0.9%減に低下しました。

2014年4月5%から8%への引き上げの際は、前年度比2.8%増から翌年度は2.6%減に転じてしまいましたが、政府は有効な手立てを打ち出すことができませんでした。

政府は、消費増税に伴う景気の悪化を未然に防ぐことを目的に様々な景気対策を打ち出しています。

軽減税率制度は景気失速に対する政府の景気対策の一つです。

軽減税率制度 要綱

軽減税率制度とは、社会保障と税の一体改革の下、消費税率引上げに伴い、所得の低い層の生活に配慮するという観点から「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」を対象に消費税を8%に据え置く制度です。

買い物の際、消費者側に特別な手続き等はありません。飲食物(酒を除く)の税率が8%、その他の物は全て10%ということだけ覚えておくだけで大丈夫です。

軽減税率で減税されるのは1兆1000億円、増税規模の19%となり、消費者にとっては歓迎すべき制度ですが、この軽減税率制度に対しては、対象品目の選定には その業界に対する忖度があったのではと言われ、運用も曖昧な部分があり「ザル運用」になるのではと危惧されています。

軽減税率制度の対象品目

生活に必要不可欠なものと言えば、「衣食住」という言葉を思い浮かべますが、今回の軽減税率で対象になるのは「食の一部」のみで「衣類」「住居」は対象外です。

飲食品の持ち帰りは8%ですが、飲食店での飲食は10%となります。外食は贅沢な食事という位置づけは納得できるのですが、スーパーでA5ランクの松坂牛を購入した場合は8%、牛丼チェーン店での飲食は10%、他にもコンビニ・スーパーで購入するミネラルウォーターは8%、水道水は10%となり、対象品目の選定に疑問が生じます。

生活に配慮するといっていますが、薬などの医療品は対象とはなっておらず、生活必需品の電気、ガス、水道などの公共料金や、電車、バスなどの公共交通機関も軽減税率の対象ではありません。

生活に最低限必要な物品と贅沢品との線引きが難しいのは分かりますが、対象品目の拡大が求められます。

2019年消費増税軽減税率対象品目

軽減税率制度の対象品目(中小企業庁「消費税軽減税率まるわかりBOOK」より)https://www.chusho.meti.go.jp/

軽減税率制度の適用基準

飲食店の場合は消費税が10%と明確なのですが、コンビニなどの場合、同じ商品でも「持ち帰り」「イートインでの飲食」により税率が変わってきます。

コンビニの場合、買い物の中に1点でも飲食品があれば、持ち帰りか店内での飲食か確認するというのは現実的ではないため、客側からの自己申告となっています。

本来であれば外食と同じ10%の税率が適用されなければならないところ、増税初日から申告せずに、8%の税率で飲食する人が相次ぎ「イートイン脱税」との指摘があり、子供や高齢者などの悪意のない無申告によるイートインの利用も目立ちます。

この件に関しては店内ではなく、持ち帰りで購入したコーヒを店外の喫煙スペースで飲んだ場合はどうなるのか、コンビニ敷地の駐車場に停めた車の中での飲食はどうなるのか言い出したらきりがありません。

コンビニ各社も対応には苦慮しているようで、「セブンイレブン」「ローソン」は軽減税率制度がスタートしたばかりなので、今の段階ではコメントのしようがないといと話ており、「ファミリーマート」は、店内で申告しないで飲食している人がいることは把握しているが、今後も自己申告に委ねるという方針に変わりない。運用を変えるのであれば、国に方針を示してもらいたい話しています。

大方の意見として、購入した物なんだからどこで食べてもいいのではないか、コンビニでの飲食は特別なサービスをうけているわけではないのだから一律8%でいいのではないかという意見だが、以前よりネットでは、本気なのか、融通が利かないのか、面白半なのか、単に性格が悪いのか分からないが、些細なことでも偏った感覚で正論を振りかざす「正義マン」が現れ現場が混乱するのではないかと危惧されています。

現場では増税に伴う混乱が予想されるため、政府・国税庁には明確な方針を明らかにしてもらい、予期せぬトラブルに巻き込まれてしまう可能性が無いとは言い切れないので、店内で飲食する際は申告した方が無難といえます。

景気失速に対する政府のその他の対策

軽減税率制度の他に、消費増税に伴う景気失速の経済対策に「キャッシュレス払いによるポイント還元制度」「プレミア付き商品券の発行」があります。

詳細は下記のページでご確認ください。

キャッシュレス払い 賢く使えばポイント還元で消費税減税と同様の効果
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