若者を中心に大人気のタピオカドリンクですが、都内の主要駅周辺にはコンビニよりも多くのタピオカ専門店が乱立しています。このブームは地方都市にも広がり専門店の出店が相次いでいますが、まだ専門店が無い地域では一時期タピオカが飲めるファミリーレストランに行列が出来るといった珍百景が話題になりました。
そんな大ブームのタピオカですが、実は過去にも流行ったことがあり、今回は第三次タピオカブームと呼ばれています。
最初のブームは、1990年代にイタリアのスイーツ「ティラミス」が大流行し、次に流行るのはコレだと雑誌で紹介されたのがタピオカでした。第二次ブームは、フジテレビ系ドラマ「神様、もう少しだけ」の大ヒットで、日本と台湾のハーフ俳優「金 城武」が一躍人気となり、台湾ブームが起きたことがきっかけです。
過去にはタピオカ以外にも様々なスイーツが流行しましたが、タピオカが「ティラミス」「ナタデココ」「パンケーキ」「かき氷」などの他のスイーツと違うところは、カフェのメニューの中の一つではなく、専門店という形で出店されているということです。専門店は出店のリスクが高い上に、タピオカは明らかに一時的な流行と思われますが、なぜ出店が相次ぐのでしょう?
今回はタピオカ専門店の「儲けのカラクリ」「仕組み」について調査してみました。
タピオカミルクティーの原価
東京・名古屋・大阪の大都市で販売されているタピオカドリンクのレギュラーサイズ(スタバでいうところのトールサイズ)の値段は約500円~600円です。
タピオカミルクティーは「タピオカ」「ミルク」「茶葉」の3点で出来ているため、全国チェーンのスーパーで材料を購入して実際に家で作ってみました。
1杯あたりの金額は下記の通りになります。
材料 | 値段 |
タピオカ | 約25円 |
ミルク(牛乳) | 約40円 |
茶葉 | 約15円 |
合計 | 80円 |
午後の紅茶1.5Lペットボトルを使えばもっとやすいですが、一応 本格的に作ってみました。
これは材料をスーパーで普通に商品を購入して作っているので、材料の原価ということになれば、一般的なスーパーの食品の原価率から計算すると、タピオカドリンク一杯の原価は40円程度ということになります。
お店ではカップ・ストロー代も必要になるので、一杯約50円といったところでしょうか。
計算式:原価率=原価÷材料費×100
上記の計算式にタピオカドリンクを当てはめると、原価率は10.0%ということになります。
一般的に飲食店業界では原価率30.%以下が適正といわれていますので、タピオカミルクティーの原価率がいかに低いかということが分かると思います。
タピオカがどれだけボロ儲けなのか他の食品の原価率と比較してみました。
商品 | 販売価格 | 原価 | 原価率 |
タピオカ | 1杯500円 | 約50円 | 約10% |
コーヒー | 1杯400円 | 約80円 | 約20% |
生ビール | 1杯500円 | 約150円 | 約30% |
回転寿司 | 1皿100円 | 約30円~60円 | 約30%~60% |
牛丼並盛 | 1杯450円 | 約120円~140円 | 約26.6%~31.1% |
パンケーキ | 1食800円 | 約250円 | 約31.2% |
お店で提供する場合、これらに人件費・賃料・光熱費などが加わるため、販売価格から原価を引いた金額が丸々儲けというわけではありませんが、いかにタピオカがお店からすれば、原価率が低く優秀でありがたい商品かということが分かると思います。
最近ではタピオカがヤクザの資金源になっていると話題になりましたが、元よりお祭りなどで、たこ焼き・焼きそばを売る露天(的屋)を生業(シノギ)にしているヤクザは昔からいるので、ボロ儲けができるタピオカ屋を始めるのになんの驚きもありません。
参考までに…原価を仕入値に置き換えてみます。タピオカミルクティーは仕入値の10倍で販売していることになりますが、六本木のキャバクラだって、お酒の値段は仕入値の5倍程度です。10倍といったら銀座の高級店または良心的なボッタクリ店レベルです。
タピオカがボロい商売と言われる理由が分かってもらえたでしょうか。
タピオカ専門店の儲けのカラクリ・儲けの仕組みは「圧倒的な原価の安さ」です。
下記で購入できるので一度ご家庭で作ってみてください。
出店するにあたり設備投資が少なくて済む
タピオカ専門店は他の飲食店と比較しても、とても少ない初期設備で始めることができます。
初期投資が少ないということもタピオカ専門店が儲かる理由の一つです。
また、ほとんどの経営者がこのブームが長続きするとは思っていないため、専門店というスタイルで営業して、他の色々なものを取り入れていません。
つまり、ブームが去ったら閉店するということまで、最初から折り込み済みなので余計な投資をしないのです。
今バイトで頑張っているお嬢さん達に「来年にはお店がなくなってるかもしれないですよ」と言ってあげたいですね。
人材の育成にお金・時間がかからない
同じ飲食店でも料理人(職人)は一人前になるのに何年もかかりますが、タピオカ店の仕事はバイトを始めて数日もすれば覚えることができるでしょう。
従業員の教育期間が短いということは、飲食店経営の中で最もお金のかかる人件費削減となるので、これもタピオカ店が儲かる理由となっています。
まとめ・総括
タピオカ専門店は飲食店を経営していく上で、最もお金がかかる人件費・設備投資・仕入値といった費用を抑えられ、商品の原価に対して大きな利益率となっています。
若者のSNSから一気に広まったタピオカブームですが、既にオジサン・オバサンまで浸透しているため、これ以上は広がる裾のがありません。
いつまで続くかわかりませんが、流行が落ち着いてくると、次は食べ物としてタピオカ本来の真価が問われます。
一時的な流行で消えてしまうのか、定番となるか、はたまた食文化となるか。
私はこの数十年の間で流行して今も残っているスイーツと言ったら「ティラミス」くらいしか思い浮かびません。(パンケーキとかき氷は最近の流行なので除外)
ティラミスとタピオカには大きな違いがあります。その違いというのは、ティラミスは料理で、タピオカは食材ということです。
タピオカがナタデココと同じようになってしまうと感じているのは私だけでしょうか。