運転免許更新の時に半ば強制的に入会を迫られる交通安全協会、加入するメリットは?断り方は?

運転免許証の更新時に、免許センターの更新手数料を支払う窓口で「交通安全協会」に加入(入会)するか聞かれたことはありませんか?

交通安全協会に「加入する」「加入しない」は任意なので、断っても本来の目的の免許証の更新には全く影響がありませんが、地域によっては事前に説明・承諾を得ることも無く、半ば強制的で加入が義務であるかのように免許証の更新手数料に交通安全協会加入費を含めた金額を言ってくる場合があります。

本来であれば加入は任意のため、加入をお願いし会費を支払ってもらう立場であるにも拘らず、横柄な対応と言わざるを得ません。

このことが問題となり、最近は入会の意思を確認されるようになってきてはいますが、交通安全協会の活動内容についての説明などは一切なく、免許センター(警察署)の建物内にあるので、公的機関と勘違いしてる人も多いようで、仕方なく支払っているといった人もいました。

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交通安全協会の活動内容

交通安全協会は、道路交通の安全を目的とする日本の非営利法人であり、国の公的機関ではありません。主な活動内容は、季節単位で開催する交通安全運動をはじめ、自動車・原動機付自転車の運転免許証更新の伝達・更新事務、申請書や収入証紙の委託販売業務、自転車などに貼る反射シールや、車輪のスポークに貼る反射材などの交通安全グッズの頒布、交通安全功労者の表彰及び、国や全国法人への表彰推薦などの事業を行っています。

警察と連携して街の交通安全を守り、警察では手が回らない部分をフォローしているようにも思えますが、本来これらは警察の交通課が行うべきことではないでしょうか?警察だけでは手が回らないというのであれば人員を増やしたり、税金を使って国が行うべきではないでしょうか?

交通安全協会の協会費

交通安全協会は全国組織として一般財団法人全日本交通安全協会があり、都道府県単位で公益財団法人、一般財団法人、一般社団法人などの交通安全協会が設置されているため、協会費は都道府県により多少の開きがあります。

協会費の全国平均は年間500円前後で、次回免許の更新までの期間分をまとめて納めるため、ゴールド免許証の場合は有効期間が5年間のため、「500円(年額)×5年(期間)=2500円」ということになります。

1年単での支払いや、まとめて納めた分の途中退会による返金はありません。

但し、契約の成立には「申し込み」と「承諾」が必要となります。事前に何の説明もなく、仮に会費を支払わされたというのであれば、一般的な契約に当てはめるなら返金を求めることも可能かと思われます。

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交通安全協会に加入するメリット

あまり知られてはいませんが、交通安全協会に加入することで受けられるメリットもあります。

正直、加入したくなるような特典と言えるかは疑問ですが、交通安全協会の会員は下記の特典を受けることができます。

免許証ケースがもらえる

何種類かある色の中からペラペラの免許証ケースが1枚もらえます。

以前は、免許証のサイズが、縦6.9cm×横9.7cmあり、財布のカード入れに入らなかったため、使用している人も見かけましたが、現在はサイズが小さくなり、キャッシュカードやポイントカードと同様のサイズ(縦5.4×横8.56cm)になり、財布やスマホのカード入れに収納できるようになったため、使用している人はあまりみかけなくなりました。

ロードマップがもらえる

都道府県によっては、ロードマップがもらえる地域があります。

カーナビが標準装備の車も多く、スマホでも簡単に地図が確認できるので、必要性は低いですね。あまり無駄なものにお金をかけないで欲しいですね。

チャイルドシートの貸し出しがある

都道府県によっては、チャイルドシートの無料貸し出しを行っている地域もあります。これは該当する人にとってはお得な特典と感じるかもしれませんが、貸出期間が短すぎます。

貸出期間は地域により異なりますが、最長で半年間、平均的な貸出期間は1カ月程度です。これでは結局チャイルドシートは自分で購入する必要があるため、必要性は低いと言わざるを得ません。

また、返却時にクリーニング代が必要なケースがほとんどです。

事故の際 入院時見舞金が受け取れる

交通事故などに遭った際に、一定の日数以上入院するとお見舞い金を貰うことができます。お見舞金の金額と基準となる入院日数は交通安全協会によって異なりますが、入院日数20日以上といったケースが多いようです。通院ではなく20日以上の入院といえば大ケガなので、なかなか無いとは思いますが、万が一のときのために覚えておいて損はないと思います。

お見舞金の金額は約3万円となっています。

協賛店で割引サービスが受けられる

地域によっては地元にある「飲食店」「ホテル」「カー用品店」などの協賛店舗で会員証を提示することで、割引が受けられるサービスを展開している交通安全協会もあります。

賢く利用すれば協会費の元が取れるため、魅力的ではありますが、交通安全協会は都道府県単位で活動しているため、地域によって協賛割引のサービスに対する力の入れように大きな開きがあります。

地域によっては協賛割引が豊富で交通安全協会に入会した方が本当にお得な場合もあります。詳しい協賛割引の内容は免許更新時、事前お住まいの交通安全協会に問い合わせてください。

交通安全協会に加入しないデメリット

交通安全協会に対しては、過去の横柄な態度、説明不足、勘違いさせるような説明により間違った認識の人も多いようですが(特に40代以上の人)交通安全協会に加入しないデメリットは見当たりません。

よくテレビに出演している「現場の婦人警官はブスばっかり」の名言でおなじみの元警察官の飛松氏は「警察官で加入している人はいません。なぜなら、(交通安全にとって、加入者にとって)何の意味もないことを知っているからです」と証言しています。

よく交通安全協会に加入していないと次回の免許証の更新の案内が届かないと勘違いしている人がいますが、「更新のお知らせはがき」は、公安委員会が行うもので、その業務を交通安全協会が代行しているだけです。交通安全協会に加入していなくても更新の案内のハガキは届きます。

また、免許証の写真を自分で用意しなければいけないや、免許更新の手数料を支払う収入印紙を自分で用意しなければいけないと思い込んでいる人もいるようですが、そんなことは全くありませんので安心してください。

交通安全協会の断り方

交通安全協会費の集め方に問題があるとして、愛知県交通安全協会を「詐欺」として提訴した裁判がありました。名古屋地方裁判所の判決では、詐欺と認めるまでにはいたりませんでしたが、「協会費の集め方に問題がないとはいえない」と、会費の集金方法に問題があることを判決文で言及しました。

このため、最近は事前に入会の意思の確認があります。

入会は任意なので入会したくない(会費を払いたくない)人は、一言「入会しません」と断るだけで大丈夫です。それ以上しつこく入会を迫られることはありません。

交通安全協会に対して批判的な声が多いのはなぜ?

交通安全協会の職員の多くは、退職警察官であり、つまり天下りということになります。本来であれば警察の交通課が行うべき業務を、都道府県警から長年にわたり随意契約で占的に受注してきたことから、警察官の天下りのためにある団体というイメージがぬぐい切れません。

現在は改善されてきましたが、加入は任意であるにも拘らず、あたかも「義務である」と誤認・錯誤するような対応は横柄・怠慢といわざるを得えないものでした。このため、特に40代以上の人からは良いイメージがありません。

また、会員個人に対して決算報告書が送られてくることは無く会費の使途に透明性が感じられません。数年の在職で一千万以上の退職金他が支払われていたり、架空経費の計上といった不祥事も起きています。