現役銀行員に聞いたユーチューバーの社会的地位・信用度、クレジットカードは作れる?お金は借りられる?

今話題の職業「ユーチューバー」ですが、ユーチューバーになるには特別な資格などは必要なく、公的な届け出も必要ありません。

明確な基準がいため、稼げている、稼げていないに関係なく、自分でユーチューバーと名乗ればユーチューバーということになります。

ユーチューバーの中には会社勤めしている同年代よりも稼ぎがいい例外的なユーチューバーも存在していますが、収入があるというだけで社会的地位、信用度はどう評価されているのでしょうか?10年後ユーチューバーは職業として確立されているのでしょうか?

今後ユーチューバーを目指す人のため、「銀行員」「証券マン」「ファイナンシャルプランナー」に疑問をぶつけてみました。

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ユーチューバーはアパート・マンション契約ができる?

アパート・マンションと一括りに言っても、家賃数万円のボロアパートから、家賃100万円以上のタワーマンションまで幅が広いため、一概に「契約できる」「契約できない」とは言えませんが、一般的な家賃10万円の物件でしたら、保証人さえ用意できれば問題なく契約できるでしょう。

保証人はユーチューバーはだから必要というわけではなく、普通の会社員が契約する場合であっても必要なケースがほとんどです。

また、契約書に職業を記載する欄はあっても、詳しい事業内容まで問われることはありませんので、「自営業」と記載すればよく、「ユーチューバー」と書く必要はありません。仮に事業内容を求められた場合、「映像配信」「映像制作」とすれば嘘には当たらないので問題ないでしょう。

ユーチューバーは金融機関と取引できる?

ユーチューバーには明確な基準がいため、稼げている、稼げていないに関係なく、自分でユーチューバーと名乗ればユーチューバーということになります。全く稼げていないユーチューバーは無職と同様の扱いですが、ある程度の稼ぎがあるユーチューバーは個人事業主ということになります。

現時点で稼げているユーチューバーであっても、会社勤めのサラリーマンとは違い、収入が将来に渡って安定的に継続して入ってくる保証がないため、いくら稼ぎがあっても銀行などの金融業者からするとフリーターと同様の扱いです。

例えば、月額20万~30万円稼いでいればユーチューバーとしては成功者かもしれませんが、月額20万~30万円はフリーターでも稼げれる金額です。フリーターも不安定な立場ではありますが、ユーチューバーはそれ以上に立場的に不安定です。

銀行などの金融業者は、現時点の収入よりも安定性を重視する傾向があります。

クレジットカードは作れる?

「クレジットカード」の審査では年収や勤続年数といった属性情報が重視されますが、最も重要視されるのは、信用情報機関にネガティブ情報(いわゆるブラックリストに登録)の登録があるか否かです。過去に自己破産・債務整理などの歴がなく、支払いの滞納もなければ、ユーチューバーであっても一定の収入があれば、一部の審査が厳しいカードを除き、問題なく審査に通過します。

契約書に職業を記載する欄はあっても、詳しい事業内容まで問われることはありませんので、「自営業」と記載すればよく、「ユーチューバー」と書く必要はありません。仮に事業内容を求められた場合、「映像配信」「映像制作」とすれば嘘には当たらないので問題ないでしょう。

但し、クレジットカードは会社によって審査の基準が異なり、その基準は一般に公開されていません。「アメリカン・エキスプレス」「ダイナースクラブカード」また、各カード会社の「ゴールドカード以上」は、審査が厳しく、安定収入以上のものが求められ、個人事業主は事業の継続年数、事業内容も審査の対象となる可能性があります。

一方で、「ヤフーカード」「楽天カード」また、「流通系・消費者金融系カード」は比較的が審査が緩いと言われています。

カードローン(キャッシング)は利用できる?

「カードローン(キャッシング)」と一括りに言っても「消費者金融」「信販会社」と、「銀行」では少々事情が異なります。

大前提として、「消費者金融」「信販会社」からの借り入れは「総量規制の対象」になりますので、年収の三分の一以上の借り入れはできません。銀行からの借り入れは総量規制の対象外なので、既に年収の三分の一以上の借り入れがあっても審査さえ通過すれば借り入れができます。

このため、消費者金融・信販会社のカードローン契約の際は、年収を証明する書類の提出が必要です。ユーチューバーであっても収入があり、総量規制に引っかかっていなければカードローンの審査は問題なく通過すると思います。

審査の際の職業欄には「自営業」と記載するればいいでしょう。仮に事業内容を求められた場合、「映像配信」「映像制作」とすれば嘘には当たらないので問題ないでしょう。

尚、当然ですが、信用情報機関にネガティブ情報(いわゆるブラックリストに登録)の登録がある場合は審査に通りません。これはユーチューバーだからということは関係がありません。

自動車ローン・マイカーローンは組める?

「自動車ローン」「マイカーローン」など、呼び名は異なりますが、車を購入する際のローンを取り扱っている金融機関は主に、信販会社・銀行になります。主要銀行の場合は予め借り入れができる金額が年収の三分の一といったように決められているケースが多いため、条件の範囲内であればユーチューバーであっても収入があれば審査は通過する可能性は高いでしょう。

信販会社の場合、予め借り入れができる金額は公表されていませんが、前年の年収が借り入れしたい金額と同等程度であれば審査は通過する可能性は高いでしょう。

審査の際の職業欄には「自営業」と記載するればいいでしょう。仮に事業内容を求められた場合、「映像配信」「映像制作」とすれば嘘には当たらないので問題ないでしょう。

尚、当然ですが、信用情報機関にネガティブ情報(いわゆるブラックリストに登録)の登録がある場合は審査に通りません。これはユーチューバーだからということは関係がありません。

ご存知かと思いますが、ローンで購入した車の場合、車検証に記載されている「所有者」はローン会社・銀行等で、「使用者」がご自身になります。自動車ローンの場合、万が一支払いが滞ってしまった場合、車を取り上げてしまえばいいので、審査は思っているほど厳しいものではないです。

住宅ローンは組める?

「住宅ローン」の審査は職業がユーチューバーの場合、仮に現時点で収入があったとしても、銀行は現時点の収入よりも安定性を重視する傾向があります。住宅ローンは長年支払っていくことになるのですから収入が将来に渡って安定的に継続して入ってくる保証がないユーチューバーはフリーターと同様の扱いです。

カードローン・自動車ローンのときは詳しい事業内容まで問われることはないので、職業欄に「自営業」と記載すれば良かったですが、住宅ローンの場合、詳しい事業内容まで求められる可能性が高いです。他のローンでは「映像配信」「映像制作」だけでよかったのですが、さらに詳しく内容を聞かれる可能性があります。このとき事業内容がユーチューバーでは審査は厳しいでしょう。

但し、絶対に審査に通らないというわけではありません。下記の条件を満たしていればある程度審査に有利に働きます。

  • 借り入れを予定している銀行と長年の取引がある。
  • 借り入れしたい金額の10分の1以上の頭金を用意できる。
  • 保証人を用意できる。
  • 担保になるものがある。(ローンは住宅のみで土地は所有しているなど)
  • 通常より早い年数での返済で申し込む。

尚、当然ですが、信用情報機関にネガティブ情報(いわゆるブラックリストに登録)の登録がある場合は審査に通りません。これはユーチューバーだからということは関係がありません。

また、住宅ローンの場合、借り入れの金額は大きいですが、万が一支払いが滞ってしまった場合、差し押さえをしてしまえばいいので、審査が絶対に通らないというものではありません。

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ユーチューバーの社会的地位・信用度

小学生が将来になりたい職業ランキングにランクインするほど大人気のユーチューバーですが、社会的地位・信用度は決して高くはありません。もちろんどの世界ににも例外と呼ばれる人がいて、ユーチューバーの中にも同年代の会社員の何倍も稼いでいる人もいますが、あくまでも例外的な成功者です。

ユーチューバーとして活動していて月額20万円~30万円稼げていればユーチューバーとしては成功者ですが、月額20万円~30万円はアルバイトでも稼げる金額です。アルバイトも不安定な立場ではありますが、ユーチューバーはそれ以上に立場的に不安定です。

社会的信用度という面では、現時点での収入はそれほど重要視されません。将来に渡る安定性が重要視されます。

ユーチューバーの社会的地位・信用度は無職以上、パート・アルバイト未満といったところでしょうか。

個人での活動が限界を迎える可能性

YouTubeは稼げる市場ということで、映像作成の専門業者が続々と参入しています。今後も稼げる市場である限りプロのYouTubeの参入が予想されます。

また、ユーチューバーとして活動する芸能人などの有名人が増えています。YouTubeが稼げる市場であれば、もしかしたらタレントの活動の場がテレビからYouTubeに変わるかもしれません。

YouTubeでの動画配信はスマホさえあれば誰でも簡単に始めることができますが、個人の作成する動画が、映像制作の専門家が作成する動画、知名度のある芸能人が出演する動画に対抗できるでしょうか?

今後、YouTubeで配信される動画は質が求められ、「広告主の利益の追求に適さない」見るに値しない動画は広告が掲載できなくなる可能性が考えられます。

Googleアドセンスも以前は審査が甘く、審査は一回だけ通過すれば 後は別のサイトでも自由に広告を掲載することができましたが、「広告を掲載するに値しない」しょーもないサイトが増えたため、最近はサイトごとに審査が必要となり基準も厳しくなっています。プロや有名人が参入することで全体の動画の質が上がるため、YouTubeも当然「広告主の利益にならない」しょーもない動画は厳しい対応が取られるでしょう。

収入源のほとんどを YouTube に依存

ユーチューバーとして活動していく上での最も不安要素は収入源のほとんどを YouTube に依存しているということです。グーグルの方針次第で得られる収益に大きな影響があります。グーグルが広告単価を下げてしまったらどうでしょう?

Googleアドセンスも10年以上前は今よりもずっと稼げていましたが、この数年で広告単価が下がり以前と比べ稼げれないものになってしまいました。YouTubeもグーグルの方針次第で今後どのようになるかは分かりません。

また、支払元が一ヵ所しかないということは、グーグルが倒産してしまったらどうでしょう?グーグルが倒産なんてありえないと思えるかもしれませんが、米国を代表するGM、リーマンブラザーズ証券の破綻を誰が予想したでしょうか?

破綻は無いにしても、法的な整備の問題もあるため、今まで通りの活動ができるとも限りません。収入源が一ヵ所しかないということは不安要素であることに間違いありません。

【番外編】娘の結婚相手にユーチューバー認める?認めない?

【番外編】ということで、年頃の娘さんを持つ父親50人に、娘の結婚相手にユーチューバーを「認める?」「認めない?」という質問をしました。結果は下記の通りです。

  • 認める:12%
  • 条件付きで認める:22%
  • 認めない:66%

認めないの理由は下記の通りです。

  • 収入が安定していなく、将来が不安
  • 楽して稼ごうという考えが受け入れられない
  • ユーチューバーなんて無職と同じ
  • 父親が定職についていないなんて子供の教育上よくない

まあ、当然の結果ですね。20代のユーチューバーには特になんとも思わないかもしれませんが、40代のユーチューバーと聞いたらどのように思いますか?イタイ奴と思ったりしませんか?

ユーチューバーとして活動していく上で、現時点で収入があったとしても、社会的地位・信用度など様々な面で社会的に認められているとは言い難いのが現実です。メリットよりデメリットのほうが多いかもしれません。その点を十分理解して今だけではなく将来のことまで考えて活動するようにしましょう。