緊急事態宣言解除によりコロナウィルス第2波・第3波の可能性は?注意しなければいけない都市は?

安倍総理大臣は新型コロナウイルス対策のための緊急事態宣言の全面解除にあたって記者会見し、自粛生活の終了、イベントの再開など経済活動の制限を段階的に緩和していくことを呼び掛けました。

緊急事態宣言が全面的に解除されたあとの政府の「基本的対処方針」では、外出の自粛要請などについて、おおむね3週間ごとに地域の感染状況などを評価して、各都道府県が段階的に緩和するとしています。

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新型コロナ感染拡大"第二波"の可能性

緊急事態宣言の全面解除・自粛要請の終了に伴い、街には人が戻り経済活動が再開され、コロナ騒動も一段落ついた感がありますが、新規感染者は毎日のように確認され、小規模クラスターも発生しています。

コロナウィルスは今も現在進行形の問題です。

経済活動の再開は同時に第2波・第3波(再流行)のリスクが伴います。緊急事態宣言が全面解除された5月26日(火曜日)の会見で、西村担当大臣は「第二波は必ず起こる」といっています。

それでは、具体的に第二波はいつくるのでしょうか?下記にリスクをまとめてみました。

  • 潜伏期間で既に第二波が発生(6月初旬)
  • 県をまたぐ移動の容認(6月)
  • 入国制限の緩和(夏以降)
  • 気温の低下(秋以降)

潜伏期間で既に第2波が発生(6月初旬)

新型コロナウィルスの潜伏期間は約2週間とされています。

国民一人一人の我慢でゴールデンウイークを自粛で乗り切りました。

しかし、ゴールデンウィークが終わったと同時に世間に自粛が終わった感が出てきて、実際に一部の地域を除いて緊急事態宣言が順次解除され徐々に経済活動が再開されました。

この時期の気の緩み、緊急事態宣言解除の判断の結果が出始めるのが6月初旬からです。もしかしたら、既に多くの人が新型コロナに感染していて潜伏期間という可能性もあります。

県をまたぐ移動の容認(6月)

緊急事態宣言は解除されましたが、現在も引き続き県をまたぐ移動を控えるよう呼びかけられています。

しかし、6月1日より、1都3県と北海道以外の移動が容認され、6月19日には、全ての都道府県間の移動が全面容認される見通しです。

これに伴い、人の移動が増加することで、小規模クラスターが各地で発生する懸念があり、他の地域からの旅行者などによりウィルスが持ち込まれたこの場合は、感染経路の特定が困難になることが予想されます。

入国制限の緩和(夏以降)

現在日本では111の国と地域を対象に入国制限を行っています。

入国制限を緩和することで人の移動と共に感染拡大のリスクが高まるのではないかといわれています。

緩和に時期ですが、茂木外務大臣は「出入国制限を緩和する場合は段階的におこない、ビジネス目的や専門的人材などから緩和をすすめる」と話しており、観光客の受け入れは「かなり先になる」として、現時点での外国人の受け入れの見通しは立っていないとしています。

現状で、日本では入国制限の対象国から帰国した日本人には「全員にPCR検査の実施」「2週間の自宅待機」を命じていますが、無症状の感染者がすり抜ける可能性があり、水際対策はコロナに関して十分に機能しているとはいえません。

気温の低下(秋以降)

気温の低下によりウィルスの活動が活発化する可能性があるとされています。

しかし、新型コロナウィルスですが、研究により紫外線に弱いことは判明していますが、日本の夏の高温多湿に弱いと判明したわけではありません。

現に米国に次いで2番目に死亡者数が多いブラジルは日本とは季節が逆であり、夏にコロナウィルスが流行し出して、夏の終わりには感染が深刻なものとなってしまいました。

ブラジルの経済優先の政策、医療体制など、単純に日本と比較はできませんが、夏のブラジルでの感染爆発の例もあるため、新型コロナウィルスが暑さ・湿気に弱いと楽観視することはできません。

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新型コロナ感染拡大"第2波"の備え

現状で日本はある程度コロナの第1波は抑えることに成功しました。

世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長も、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を全面解除した日本について、新規感染者が大幅に減少し死者数増も抑えられているとして、感染拡大の抑止に『成功』したと評価しています。

しかし、多くの専門家が"コロナの第2波は必ずくる"と注意を呼び掛けています。

現状では第2波の発生を防ぐための対策ではなく、第2波が起きてしまった場合に感染が拡大しないようにするための対策しかないのが現状です。

政府が打ち出している"第2波対策"

政府が打ち出している"第2波対策"は、『PCR検査などの検査機能拡大』『十分な専用病床の確保』『接触確認アプリの導入』などがあります。

【PCR検査などの検査機能拡大】
医師が必要と判断した者に対し、PCR検査が迅速に行えない地域がるため、今後は、第二波に備え、検査を担う人材確保や民間検査会社の活用を進め、相談から検査までの日数が短縮されることになります。また、PCR検査と抗原検査の役割分担を明確にし、感染拡大の防止に役立てられます。
【医療体制の強化・十分な専用病床の確保】
医療提供体制については、患者が少ない時でも準備する最低限の病床数の目安を示し、都道府県に確保が求められます。大都市では100人規模のクラスター(感染者集団)の発生も想定して準備がされます。保健所機能については、OB職員の再雇用などを通じ、積極的疫学調査の体制を強化することが検討される。
【接触確認アプリの導入】
接触確認アプリとは、アプリ利用者が陽性と判明した場合、陽性判明者と一定時間近くにいた人にスマートフォンの通信機能を利用して通知がいくという仕組みです。しかし、この仕組みが有効に機能するには既にこの仕組みを取り入れている英国のシミュレーションでは国民の6割に普及しなければ十分な効果が得られないとされています。

収束には予防薬・治療薬の開発を待つしかない

米国シカゴ大学の遺伝学の研究グループは、新型コロナウィルスの集束にはワクチンの開発が最も有効としているが、開発まで最短でも12カ月~18カ月程度が必要とされ、完成しても有効性・安全性が証明されなければいけません。

申請から承認までも通常であれば長い時間を要しますが、この点について、厚生労働省は公的な研究事業の成果で一定の有効性・安全性が確認されている場合には、治験結果を待たずに承認申請することも可能だとする通知を出しました。

新型コロナウイルス感染症に対する医薬品等は、最優先で審査を行うとしており、治療薬を早期に実用化する考えです。

集団免疫・自然免疫

ワクチンが完成しなければ新型コロナウィルスの収束しないということは、長期的に流行が断続的に続き、多くの人がウィルスに感染することで、自然に免疫を獲得することになります。

集団免疫で6割を獲得すれば感染は収束するといわれています。

しかし、今現在新型コロナの免疫を持っている人は少なく、東京都を例に挙げてみると抗体検査の結果、500検体中の陽性率は0.6%しかいません。

このため、集団免疫・自然免疫に期待することは出来ず、ワクチンの完成まで感染伝播を防御する公衆衛生的な政策を続けるしかないでしょう。

ヨーロッパのごく一部の国では、コロナに対する積極的な対策を講じず、集団免疫を獲得して感染を収束させようとしている国がありますが、この場合は多くの感染者が亡くなるという深刻で悲惨な事態に陥る危険性があり、日本がこのような方針になる可能性は極めて低いでしょう。