コロナ 特別定額給付金10万円 使い道の家庭内トラブル 世帯主の使い込み・子供に渡す必要はあるの?

新型コロナウィルス感染症の緊急経済対策として、政府が国民1人当たり一律10万円を配る「特別定額給付金」の申請が全国の自治体で本格化しています。

しかし、給付金は世帯に一律の金額が支給されるものではなく、国民1人当たり一律10万円の支給ということで、未成年の子供が10万円を全額もらう権利を主張しているといったものから、世帯主のもとに家族の分がまとめて振り込まれるため、世帯主が全額使い道を決めると主張しているといったもの、家計を預かる奥さんに通帳を握られているため、自分は給付金をもらえそうにない旦那さんなど、使い方をめぐる家庭内でのトラブルが多発しています。

給付金の使い道トラブルは法律に照らし合わせ、どのように判断されるのでしょうか。

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給付金の支給対象

特別定額給付金の支給は国民1人あたり10万円の支給としていますが、政府は支給の対象者を明確にアナウンスしていないため、支給対象者は下記の2つの考え方ができます。

【ケース1】
給付金の支給対象者は、受給権者である世帯主であり、住所を同じとする家族は給付金の額を計算する基準となる人数に過ぎず、あくまでも給付金は受給権者である世帯主に支給されるもの。
【ケース2】
手続きの簡略化のため、給付金は世帯主に住所を同じとする家族の分がまとめて支給されるが、受給権者はあくまでも国民ひとりひとりである。

今現在は給付金の受給を巡る家庭内でのトラブルの裁判がなく(5月末の執筆時)、判例がありません。このため、現時点で支給対象から確定的な回答はできません。

特別定額給付金の支給目的

特別定額給付金の支給目的から支給金が誰に対して支払われるものか考えてみましょう。

総務省ホームページでは給付金の「施策の目的」について下記のような説明があります。

「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」(令和2年4月20日閣議決定)において、「新型インフルエンザ等対策特別措置法の緊急事態宣言の下、生活の維持に必要な場合を除き、外出を自粛し、人と人との接触を最大限削減する必要がある。医療現場をはじめとして全国各地のあらゆる現場で取り組んでおられる方々への敬意と感謝の気持ちを持ち、人々が連帯して一致団結し、見えざる敵との闘いという国難を克服しなければならない」と示され、このため、感染拡大防止に留意しつつ、簡素な仕組みで迅速かつ的確に家計への支援を行う。

新型コロナウイルス感染症緊急経済対策とは、コロナウィルスにより失業、収入減となってしまった家計に対する『経済対策=生活支援』なのか、低迷する日本経済の『経済対策=景気対策』のどちらになるのでしょうか。

当初は、収入源世帯に対して1世帯あたり30万円を現金で支給する「生活支援臨時給付金(仮称)」という案が浮上していましたが、生活支援臨時給付金の代わりが特別定額給付金というのであれば、支給の目的は家計の生活支援ということになります。

この場合、支給されたお金は個々が自由に使うのではなく、家計のために使われるべきと考えられます。

しかし、生活支援臨時給付金(仮称)とは異なり、特別定額給付金は、公務員・年金受給者・生活保護受給者など、コロナによる経済的な影響を受けない人にも支給されます。このため、必ずしも生活支援を目的に支給されるものではないという見方もできます。

生活支援が目的でなければ個人が好きなように使いべきと考えられます。

但し、先にもいいましたが、特別定額給付金の明確な支給目的がアナウンスされておらず、支給金を巡る家庭内トラブルによる裁判も無く判例がないため、確定的なことはえいないのが現状です。

特別定額給付金の施策の目的はそれぞれの家庭内の解釈によるといったところでしょうか。

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家族の誰かが全額使ってしまった場合

世帯主がまとめて振り込まれた支給金を全て使ってしまった場合、"ケース1"の考えでは全く問題となりません。

"ケース2"の考えでは、家族分の給付金を勝手に使ってしまうと横領となる可能性がありますが、夫婦間、親子間で横領罪は成立しないため、刑事上の責任を問われることはありません。ただし、勝手に使われてしまった人は民事上の返還請求が可能です。世帯主以外の誰かが使いこんでしまった場合も同様です。

未成年の子供に給付金を渡す必要があるか

"ケース1"の考えの場合、受給権者及び支給対象は世帯主であるため、子供に給付金を渡す必要はありません。

"ケース2"の考えの場合であっても、子供が未成年であれば、親権者には子の財産管理権があるため、自分の分の10万円を渡してほしいという要求を拒否することは認められています。

まとめ・総括

特別定額給付金の支給対象・受給権者は、支給目的(施策の目的)の解釈により、考え方にが2つあり、法的に生じる問題も違ってきます。

今まで明言は避けてきましたが、あえてどちらのケースが有力かと問われたら、家族を代表する立場である世帯主が家族の生活を守るために使い道を決定する"ケース1"が自然な流れではないでしょうか。

但し、例外もあります。DVを理由に避難している人は世帯主でなくても給付金を受け取ることができ、本当に支援を必要とする人にいき渡るような配慮がされています。

支給金の使い道でトラブルにならないよう、しっかり家族で話し合うようにしましょう。