国民年金保険料の納付が義務という話は置いといて、毎月の年金を納めることは得なのか?損なのか?

国民年金保険料(以下、「年金保険料」と呼ぶ)を納めるのは義務といった話はひとまず置いといて、毎月の年金を納めることが「得なのか」「損なのか」ということに視点を置いて考えてみましょう。

この記事は、年金を納めることが「得なのか」「損なのか」について書かれているため、金額・期間など制度の詳しい内容については割愛している部分があります。詳しい内容は当サイト内の別ページに記載しています。

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年金制度に対する不安

現役世代の方からよく「将来年金はもらえるの?」といった質問をされることがあります。

テレビや新聞などでも「年金制度の破綻」などといった不安を煽る言葉を耳にしますが、私の知る限り先進国で年金制度が破綻した国を知りません。

受け取れる年金額がいまより減額されたり、受給開始の年齢が引き上げられる可能性は極めて高いと言えますが、制度自体が破綻することはありえません。

厳密に言えば、現役世代が納めた年金保険料のみで受給者の年金を賄うというのであれば、既に制度は破綻しています。

不足分には消費税などの税収が当てられ年金制度が保たれていますが、難しい話はひとまず年金制度は保たれているとしましょう。

爆発的なベビーブームが起きて飛躍的に出生率が上がり、それが継続されない限り現状の運用が続くでしょう。

  1. 受取れる年金額が減額されたり、受給開始の年齢が引き上げられる可能性は極めて高い
  2. 給付費の不足分は消費税などの公費が当てられ年金制度は維持される

実は手厚い保障の国民年金

年金というと、老後に生活費としてお金がもらえる制度だと思われているかもしれませんが、それだけではありません。

要件を満たした者が所定の年齢になってから受給する年金を一般的に老齢年金(老齢基礎年金)と呼びます。

国民年金は他にも、あなたが病気や事故で体に障害がの残ってしまった場合、生活の支えとなる「障害者年金」、あなたが家族を残して先に亡くなってしまった場合、残された家族の生活を支える「遺族年金」これら三つがセットになっています。

年金保険料を納めないということは「老齢年金」だけではなく「障害年金」「遺族年金」の全てを放棄することになってしまいます。

老齢年金

老齢基礎年金は、国民年金に10年以上加入した人が65歳から受け取ることができる、全国民に共通した年金です。

障害年金

病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになってしまった場合に受取ることができる年金です。

障害年金はそれまでの期間しっかり納めていれば、障害を負ってしまった場合、現役世代の方も受け取ることができます。

遺族年金

被保険者が死亡した時に、遺族が受け取る遺族年金です。

「18歳到達年度末までにある子(障害者は20歳未満)のいる妻」または「子」に受取る資格があります。

  1. 国民年金は「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」の三本点て
  2. 年金保険料を納めないということは全てを放棄することになる

国民年金を金融商品として見た場合

国民年金を金融商品として見た場合、年金よりも少ない元手で、高利回り、リスクが低い商品はめったにありません。

家族がいて健康に平均寿命まで生きた人は納めた年金をはるかに上回る金額を受けることができす。

年金を真面目に納めた健康で独身の人が早死にしてしまえば損なのかもしれませんが、こればかりは将来どうなるかは分からないので、年金保険料は納めた方が無難だと言えます。

株・FX・不動産などの金融商品と比較

株取引や為替などで短期間に大きな利益を得る人もいますが、自分で売り買いの判断をしなければならず、運用している金額と負っているリスクの度合いが違います。

これらの金融商品取引は資金に余力がある人が行うものであり、年金の比較対象になるものではありません。

民間保険会社の個人年金と比較

株取引やFXなどで短期間に大きな利益を得る人もいますが、運用している金額と負っているリスクの度合いが違います。

国民年金の老齢年金がどれだけお得なのか、同じような意味合いの民間の保険会社が取り扱う個人年金と同じような条件で比較してみましょう。

種別保険料払い込み期間月額保険料保険料累計受給開始年齢受取れる年金額受給期間
国民年金40年16,410円7,876,800円65歳年間780,100円一生
個人年金40年15,000円7,200,000円65歳年間753,400円10年
  1. 国民年金の保険料は、毎年度見直しがおこなわれます
  2. 個人年金の戻り率は保険会社・据え置き期間により異なります。
年金よりも少ない元手で、高利回り、リスクが低い商品はない

年金保険料の滞納は、より多くの金額を支払う結果に

年金保険料を納めないことのリスクをわかった上で、それでも支払いたくないという人は、実際に支払わなくで済むのでしょうか?

年金は、住民税などに比べ徴収が緩いイメージがあり、実際に一昔前まで年金を納めていない人もたくさんいました。

しかし、そのような人を放置した結果、年金を受け取れない高齢者が増え、生活保護受給者が増大してしまったのです。

このため現在は、十分な支払い能力があり、正当な理由もなく年金を納めないでいると、滞納分には最大で年率14.6%というサラ金並みの延滞金が加算され、段階を経て差押えなどの強制徴収がなされます。

自分の意思とは関係なく、どのような形にしろ、支払うことになるのであれば、無駄な延滞金は支払いたくありませんよね。

実際、悪質な滞納者に対して差押えは当たり前のように行われています。

しかし、現実として人にはそれぞれ事情があります。自分勝手な理由で納めない人と、やむを得ない理由で納めたくても納められない人を一緒にすることはできないため、差押えには慎重を期する必要があます。

また、滞納者の数があまりにも多いため、手が回っていないというのが現状ですが、正当な理由もなく支払いを免れることはできないと考えておいた方がいいでしょう。

  1. 年金保険料を滞納すると最大で年利14.6%の延滞金が発生する
  2. 滞納者には差し押さえによる強制徴収が行われる

年金を納めていても年金が貰えない人が続出

年金の給付費と保険料

将来年金がもらえなくてもいいから年金保険料を納めていないという人も、実は年金を納めていて今後も納め続けていくのです。

先に話した通り、現役世代が納めた年金保険料のみで受給者の年金を賄うというのであれば、制度は既に破綻しています。

不足分には消費税などの税収から得た公費が当てられているということは、年金を納めていない人も、間接的ではありますが、年金を納めているといえます。

しかし、消費税という形で間接的に年金の一部を納めていても、毎月の年金を納めていなければ将来年金はもらうことができません。

これは、とても損していると言えるのではないでしょうか?

  1. 年金保険料を納めていない人も間接的に納めていることになる
  2. 間接的に年金を納めていたとしても毎月の保険料を納めていなければ年金は受給できない

まとめ

年金の徴収は年々厳しくなっているため、支払わずに済むとは思えませんが、上記からも分かるように、年金はとてもお得な制度と言えます。

自分で貯金するから大丈夫と言って年金を支払わずに、老後に惨めな思いをしている人をたくさん知っています。

私の試算では国民年金保険料を完納することはいう1500万円の資産を保有しているのと同様に考えます。

自分で貯金するから大丈夫と言って年金を納めていない人は老後までに1500万円を貯金することが可能でしょうか?そんな考えの人が真っ当な生活を送っているとは思えません。まず無理です。

未確定な将来、惨めな老後を送りたくなければ最低限の生活の保証に年金は支払っておいた方が無難だと思います。