公的年金制度 国民年金と厚生年金の違い 保険料・納付期間・加入対象者

公的年金とは、社会保障の観点から財政援助や税制優遇措置を与え、国が行う「社会保険制度」のひとつです。日本の公的年金制度は、「国民年金」「厚生年金」の2種類あり、日本国内に住む全ての人はいずれかの保険に加入しなければなりません。

年金の加入者は「被保険者」と呼ばれ、どの保険に加入するかは その人の働き方により異なります。

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2階建ての公的年金制度

公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2種類があります。

「国民年金」は全ての国民を対象としたもで、「厚生年金」は 民間企業や公務員など、組織に雇用される人が国民年金とあわせて加入する年金です。

年金制度の説明で「2階建て」という言い方をしますが、国民年金が1階部の基礎的な部分で、厚生年金が2階部の上乗せ分の年金となります。

当然ですが、1階部の国民年金にしか加入していない第1号被保険者(※後で解説)は、毎月の保険料は安いですが、その分 万が一の時や将来もらえる年金額は少なくなります。

「3階建て」という言葉を耳にしたことがあるかもしれませんが、3階部は勤務先が準備したり、個人が任意で加入する「厚生年金基金」「企業年金」「年金払い退職給付」で、私的年金制度であるため、公的年金制度ではありません。

国民年金と厚生年金の違い

「いずれかの年金に加入しなければいけません」と言いましたが、正確には、どちらかいずれではなく、国民年金は全ての人が加入しなければいけません。

厚生年金の加入者は、自動的に国民年金にも加入していることになり、保険料は厚生年金の保険料の中に含まれています。

日本の年金制度は二階建てと言われていますが、国民年金が一階部の基礎的な部分で、厚生年金が二階部の上乗せ分の年金となります。

国民年金(基礎年金)

国民年金は「基礎年金」とも呼ばれ、20歳以上60歳未満の国民全員が必ず加入することになっている年金です。

国民年金第1号被保険者及び任意加入被保険者の1カ月当たりの保険料は、令和元年度の時点で16,410円です。保険料は毎年度見直しが行われます。

国民年金には、「第1号被保険者」「第2号被保険者」「第3号被保険者」の3種類があります。

制度該当者
第1号被保険者個人事業主・学生・無職(ニート) など
第2号被保険者厚生年金保険の適用を受ける民間企業に勤務する全ての人(厚生年金加入者)
第3号被保険者第2号被保険者の配偶者で扶養の範囲内で働く20歳以上60歳未満の人

さらに自分が第何号被保険者に該当するかによって、保険料の納め方が異なります。

制度保険料の納付方法
第1号被保険者自分で納める(納付書・口座振替 など)ます
第2号被保険者厚生年金加入者の国民年金保険料は厚生年金保険料に含まれています
第3号被保険者配偶者が加入する年金制度が一括負担(本人の負担はなし)

国民年金(基礎年金)の受け取り

基礎年金の種類受給できる年金
老齢基礎年金20歳から60歳になるまでの40年間の全期間保険料を納めた方は、65歳から年間 780,100円(満額)の老齢基礎年金が支給されます。保険料を全額免除された期間の年金額は二分の一で計算されます。
障害基礎年金病気・怪我により身体に一定状態の障害が残ってしまった場合、年間 780,100円+子供の数に応じた加算金の障害基礎年金が支給されます。この年金は現役世代の方も受給することができます。
遺族基礎年金被保険者または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき、残された家族(子供のいる配偶者・子供)は780,100円+子供の数に応じた加算金の遺族基礎年金を受給することができます。

厚生年金保険(上乗せ分の年金)

厚生年金は民間の企業などに勤務している人が加入する年金です。会社で働いていれば20歳前でも加入することになります。

厚生年金保険の保険料は、毎月の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に共通の保険料率をかけて計算され、事業主と被保険者とが半分ずつ負担します。事業主が保険料の半額を負担(労使折半)しているため、実際の納付額は、給与明細などに記載されている保険料の倍の金額となります。

厚生年金の給付額は、働いていたときの給料と加入期間に応じて決められます。

保険料には国民年金保険料も含まれているため、国民年金分と厚生年金分の両方を受け取ることができます。

国民年金が一階部の基礎的な部分で、厚生年金が二階部の上乗せ分の年金となります。

「厚生年金」と「企業年金」の違い

会社によっては「国民年金」「厚生年金保険」の他に、企業年金制度を設けている場合があります。企業年金は公的な年金制度ではなく、民間の私的な年金制度です。

企業年金制度を運用している企業では、国民年金、厚生年金に加えて企業年金を支給することになり、老後の保障がさらに手厚くなります。

国民年金が一階部の基礎的な部分で、厚生年金が二階部の上乗せ分、企業年金が三階部の充実した保障の年金となります。

企業年金は私的年金制度なので、制度を導入するかしないは企業の判断です。全ての企業が導入しているわけではありません。企業年金制度があったとしても、従業員が加入を選択したり、一定の職種のみの者を加入対象としているケースもあります。

企業年金の掛け金は、企業が負担するケース、企業と従業員が共に拠出するケース、従業員のみが拠出するケースなど様々です。

この年金原資の管理、運用、給付などは、母体企業が設立した厚生年金基金や企業年金基金によって行われます。

年金の受け取りも、退職金の様に一時金で受け取るか、年金のように毎月受け取るか、一部を一時金残りを年金型式で受け取るか様々です。

企業年金の種類

企業年金の種類制度の詳細
確定給付企業年金原則、事業主が掛け金を負担、基本企業任せの年金
厚生年金基金企業が従業員に対して老後の給付を約束する制度
確定拠出年金掛け金は企業が負担するケース、従業員が負担するケース、共に拠出するケースなど様々。掛け金は従業員が管理・運用する